研究課題/領域番号 |
23592270
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
高松 功 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (30385471)
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研究分担者 |
佐藤 泰司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (10505267)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 麻酔学 |
研究概要 |
近年麻酔薬の記憶への直接作用のみならず、幼若期の麻酔薬暴露がその後の記憶障害を引き起こす可能性が行動学的・形態学的手法を用いて動物実験において示されている。我々は以前吸入麻酔薬セボフルランによる幼若マウスへの麻酔は形態学的にもアポトーシスを引き起こし、成長後の行動異常や記憶障害を引き起こすことを報告した。成長過程での麻酔薬の暴露と成熟期の記憶障害の関与は極めて重要な問題であり、小児期の麻酔が成長期の記憶障害に関与する可能性は詳細に検討されるべきである。 海馬は記憶の中枢とされ、海馬における神経伝達は記憶と関連する。記憶はシナプス伝達の効率が長時間にわたって変化することによって作られる。シナプス伝達の効率の変化はシナプス可塑性と呼ばれ、記憶の中枢と考えられている。海馬でのシナプス伝達長期増強(long-term potensiation: LTP)は高頻度電気刺激を与えることによりシナプス伝達が長期間にわたり増強する現象で、記憶の素過程と考えられている。海馬スライスを用いた電気生理学的研究により、成長過程での麻酔薬の暴露と成熟期の記憶障害について検討することができる。 当該年度は幼弱期麻酔暴露による成長後の海馬シナプス伝達の変化について電気生理学的手法を用いて測定した。特に海馬CA1錐体細胞への細胞内記録法による(脱分極誘発、自発性、微小)抑制性シナプス後電流、興奮性シナプス後電流の測定、細胞外記録法による興奮性シナプス高電位、シナプス可塑性(paired-pulse facilitation、LTP)について研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電気刺激装置の更新により、データが不安定となり調整を余儀なくされた。コンピューターの電源が故障して計測ができなくなり、修復に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に収集したデータがまだ不足しているため追加データが必要である。麻酔薬の種類を増やして、薬剤による作用の差異について検討する。神経毒性が起こるメカニズムについて、それを抑制する可能性がある薬剤について選定するために、候補薬剤について予備的な研究を実施し、次年度の研究に使用する薬剤を選定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在使用中のシステムは既存のもので老朽化している。実際当該年度に電気生理用アンプをコントロールするコンピューターの電源が故障して立ち上がらなくなった。次年度はコンピューターを更新し、それに伴い必要なソフトウエア、周辺機器の整備を行う予定である。
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