研究概要 |
副腎不全とHyperreninemic hypoaldosteronismを呈した重症敗血症患者に対する薬物療法を検討する目的で、両側副腎摘出ラットにアルドステロン,デキサメサゾン,食塩水,又はそれらの組み合わせ投与による治療を行った後にエンドトキシン(LPS)を腹腔内に投与するラット敗血症副腎不全治療モデルを作成し、予後や生理学的・病理組織学的検討を平成24年度に引き続き平成25年度も行った。体重180-200gの雄性Sprague Dawleyラットを用い、両側副腎(ADX)を摘出し副腎不全モデルを作成した。ADX術後第6病日に検体採取を行った。 採取した検体の固定と保存は、肝,空腸には10%中性緩衝ホルマリン液を使用した。標本はパラフィンにて埋包し、厚さ5μmの横断切片を作成した、肝,空腸の切片はヘマトキシリンエオシン染色(HE染色)を行った。各臓器の検討項目は、空腸は、線毛上皮障害,血管周囲好中球数、肝臓は、肝細胞内脂肪滴,うっ血,視野内好中球数とした。 空腸の組織像は、LPS投与2時間後には、全ての群で血管周囲の好中球集積を認めた。LPS投与後の線毛上皮障害はW群に強く認めた。好中球数は、LPS投与2時間後はW群,Ald群,Sham群に強く、LPS投与前後の変化はW群,Ald-Dexa群,Sham群,Ald群に強く認めた。 肝では、W群を除く全ての群で、LPS投与前に肝細胞内に脂肪滴を認めた。LPS投与2時間後には、全ての群で肝細胞の脂肪滴が減少し、好中球の浸潤を認めた。LPS投与前の肝細胞内脂肪滴は、NS-Dexa群,Ald-Dexa群,Dexa群に強く認め、LPS投与前後の変化はAld-Dexa群,Ald群が大きかった。うっ血はW群に強く認めた。好中球数は、LPS投与2時間後とLPS投与前後の変化ともにAld群,W群,Ald-Dexa群,Sham群で多かった。
|