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2013 年度 実績報告書

神経傷害性疼痛における生理活性脂質の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592276
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 伸子  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80332609)

キーワード脂質 / 炎症 / 神経科学
研究概要

生体内で様々な刺激により瞬時に産生される生理活性脂質の中でも、強力な白血球活性化作用を持つロイコトリエンB4(LTB4)の高親和性受容体BLT1が、急性痛に対してどのように関与しているのか、BLT1遺伝子欠損マウスとその野生型マウスを用いて研究を行った。ホルマリン及びカプサイシン足底注入による急性痛モデルでの行動解析では、野生型と比較してBLT1遺伝子欠損マウスにて有意に疼痛行動が減弱していることがわかった。2つの急性痛モデルで、脊髄内反応分子にどのような変化があり、BLT1遺伝子欠損が影響しているのかについて、免疫染色により解析した。ホルマリン足底注入後、及びカプサイシン足底注入後の脊髄後角にて、痛覚感作に関わる急性期反応分子pCREB(リン酸化cAMP応答配列結合タンパク)陽性シグナルが増加していた。このpCREB陽性シグナルは野生型と比較してBLT1遺伝子欠損マウスにて有意に減弱しており、LTB4-BLT1シグナルが脊髄において痛覚感作に影響していることが分かった。次に炎症局所での反応の違いを検討した。ホルマリン足底注入後の足底の容量変化、血管透過性について調べたところ、足底の容量変化は野生型と比較してBLT1遺伝子欠損マウスにて有意に少なく、血管透過性変化についても、野生型では有意に血管透過性の亢進が認められたがBLT1遺伝子欠損マウスでは有意な透過性亢進ではなかった。さらにBLT1受容体拮抗薬の効果について検討した。BLT1受容体拮抗薬の足底投与、腹腔内投与、脊髄腔内投与とも、ホルマリン足底注入後の疼痛行動に有意な減弱が認められた。BLT1拮抗薬投与により、ホルマリン足底注入後の脊髄pCREB陽性細胞の増加が抑制されていた。これらの結果より、急性痛病態形成においてLTB4-BLT1シグナルが局所での炎症反応とそれに続く脊髄神経での痛覚感作の両方に関与している可能性と、BLT1拮抗薬の急性痛における有効性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ロイコトリエンB4受容体拮抗薬は急性炎症性疼痛モデルにおける疼痛行動を減弱させる2013

    • 著者名/発表者名
      浅原美保、伊藤伸子、山田芳嗣
    • 学会等名
      第60回日本麻酔科学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      20130523-20130525

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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