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2011 年度 実施状況報告書

プレギャバリン・ガバペンチンの本当の作用機序

研究課題

研究課題/領域番号 23592277
研究機関新潟大学

研究代表者

馬場 洋  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードガバペンチン / プレガバリン / Caチャネル / 脊髄後角 / 膠様質細胞 / 脊髄スライス / 一次求心性線維 / シナプス前終末
研究概要

平成23年度は、まず正常ラットの腰部脊髄から後根付き横断スライスを作成し、人工脳脊髄液で灌流した状態で後角細胞からパッチクランプ記録を行った。後根を電気刺激することによって後角細胞に誘発される単シナプス性EPSCに対するガバペンチン(100μM)やプレガバリン(100μM)の灌流投与の影響を観察した。痛覚を伝えるAデルタ線維やC線維による単シナプス性EPSCの振幅はどちらの薬剤を10分以上灌流投与しても有意には変化しなかった。これらの電気生理学的実験結果はガバペンチンやプレガバリンはシナプス前終末のCa濃度上昇を抑制するというこれまでの報告と矛盾する。そのため、Ca感受性色素を用いてCaイメージングを行い、同様の実験を行ってみたが、ガバペンチンやプレガバリンはシナプス前終末のCa濃度に影響しなかった。ガバペンチンやプレガバリンは一次求心線維終末のCaチャネルに作用しCaが細胞内に流入することを抑制して興奮性伝達物質であるグルタミン酸の放出を抑制すると言われている。グルタミン酸の放出が減少すれば、後角細胞で記録されているがEPSCの振幅は減少するはずである。しかし、今回の実験結果からは少なくとも正常動物ではこれまで他の研究者によって報告されていた作用機序は確認できず、今後の神経障害性疼痛モデルを用いた実験でも同様の結果ならばガバペンチンやプレガバリンの鎮痛機序を再考する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで他の研究者によって報告されてきたガバペンチン・プレガバリンの作用を正常ラットの腰部脊髄の後角細胞で電気生理学的に再現することがどうしてもできなかったため、実験システムに問題がないかどうか確認するのに時間がかかった。また、電気生理学的に得られた結果をさらに補強するために、Ca感受性色素を用いたCaイメージングシステムで同様の実験を行ったため、予定していた神経障害性疼痛モデルの作成に着手することができなかった。

今後の研究の推進方策

今後は正常動物でのデータを増やすとともに、数種類の神経障害性疼痛モデル動物を作成し、パッチクランプ法による電気生理学的実験とCaイメージングシステムによる実験を平行して行う。神経障害性疼痛モデル動物としては、糖尿病性ニューロパチーモデル、坐骨神経完全切断モデル、坐骨神経部分結紮モデルを作成する予定である。それぞれのモデル動物から腰部脊髄スライスを作成し、後根刺激で誘発される単シナプス性EPSCの振幅やCaイメージングで記録されるCa濃度変化に対するガバペンチン・プレガバリンの影響を調べる予定である。

次年度の研究費の使用計画

23年度と同様に実験動物や薬品類などに使用する予定である。実験動物としては成熟ラットを購入し、その一部は糖尿病性ニューロパチーモデル作成に用いるため、膵臓のベータ細胞を破壊する薬剤であるストレトゾトシンを購入する予定である。また、糖尿病になっているかどうか確認するために簡易血糖値測定器を購入予定である。その他の薬品類としては、人工脳脊髄液・細胞内液作成のための電解質類やATP、グルタミン酸受容体拮抗薬、Caイメージングに使用するCa感受性色素であるFura-2等を購入する予定である。その他、薬剤以外の物としては、必要ならばパッチクランプアンプのガラス電極、電極ホルダー、顕微鏡レンズ等の消耗品を購入しなければならなくなる可能性はある。

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公開日: 2013-07-10  

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