研究課題/領域番号 |
23592277
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
馬場 洋 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00262436)
|
キーワード | 脊髄後角 / パッチクランプ / ガバペンチン / プレガバリン / 一次求心性線維 / 細胞内カルシウム / 単シナプス性 / グルタミン酸 |
研究概要 |
平成24年度は平成23年度に行った正常ラットを用いた方法と同様の電気生理学的実験を糖尿病性神経障害性痛モデル動物に対して行った。糖尿病性神経障害性痛モデル動物はラットの腹腔内にストレプトゾトシンを腹腔内投与することによって作成し、自動von Frey装置によって後肢足底の痛み閾値が下がっていることも確認した。腰部脊髄から後根付き横断スライスを作成し、人工脳脊髄液で灌流した状態で後角細胞からパッチクランプ記録を行った。後根を電気刺激することによって後角細胞に誘発される単シナプス性EPSCに対するガバペンチン(100μM)やプレガバリン(100μM)の灌流投与の影響を観察した。痛覚を伝えるAデルタ線維やC線維による単シナプス性EPSCの振幅はどちらの薬剤を10分以上灌流投与しても有意には変化しなかった。これらの電気生理学的実験結果はガバペンチンやプレガバリンは神経障害性痛状態のような過興奮状態になったシナプス前終末のCa濃度上昇のみを抑制するというこれまでの報告とも一致しなかった。次に、痛みの伝達物質であるグルタミン酸を受け取る側である後角細胞自体の細胞内カルシウムをに対するガバペンチンの影響を観察したところ、100μMの高濃度でもほとんど後根刺激による細胞内カルシウム上昇を抑制することはなかった。プレガバリンに関しては現在、行っているところである。以上の結果から、少なくともガバペンチンに関しては一次求心性終末からのグルタミン酸放出も後角細胞内カルシウムにも影響せず、その作用機序は従来から言われているCaチャネルブロッカーとして働くことではないことがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり、正常動物でのガバペンチンとプレガバリンとの作用を電気生理とCaイメージングで確認し、現在は神経障害性疼痛モデル動物でガバペンチンの作用の実験はほぼ終了し、プレガバリンの作用を検討中である。現在の進行状況では平成25年度中にはほぼ予定どおり終了できる見込みであり、さらに余裕があればCaイメージングだけでなく下記のような膜電位のイメージングに進むことができれば良いと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度はプレガバリンに関するCaイメージング実験を終了させる予定であり、さらに時間的余裕があれば脊髄後角細胞の膜電位イメージングも検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度も主に実験試薬や動物代として使用する予定である。実験試薬としては細胞内カルシウムを計るためのカルシウムプローブ(Rhod-2)や膜電位感受性色素の購入に使用する予定である。
|