研究課題/領域番号 |
23592280
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏明 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (20402026)
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研究分担者 |
小口 健史 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (60201399)
松川 隆 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80209519)
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キーワード | Insulin / preconditioning effect / rat heart / ischemia |
研究概要 |
1. 虚血再灌流の前から高容量インスリン(0.5U/L)を投与する群(Pre群)、虚血再灌流後からインスリンを投与する群(Post群)、インスリンを投与しない群(Control群)の3群に対し各々ラット12匹を用い、インスリンの先行投与が虚血再灌流障害に対して心筋保護作用があるかどうか検討した。 2. 摘出心臓標本の作成:心臓灌流用システムを用いて、ラットから摘出した心臓にカニュレーションを行い、Langendorff 法により灌流した。 3. 心機能測定・冠流量測定:肺静脈からバルーンカテーテルを左心室内へ挿入して左心室圧(LVP)を測定し、LVPから左室dP/dt maxを求めて、心収縮能の指標とした。肺動脈から流出する冠流液(coronary effluent)を経時的に採取した。 4. 虚血再灌流実験:上記のラット摘出心臓標本において、Non-flow ischemia(虚血15分・ペーシング222bpm→再灌流20分)による虚血再灌流実験を行い、3群間で、心機能の回復について検討した。 5. 実験結果:3群間で、心拍数、冠流量では差が無かった。心収縮能の指標である左室dP/dt max はPre群にて最も高値であった。 6. 実験結果発表:アメリカ麻酔学会(ASA2012.ワシントン) にて今回の結果をポスター発表した。(Abstract Number:A1254)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、心筋虚血再灌流障害に対する高用量インスリンの保護効果の検討は、現時点において高用量インスリンを虚血再灌流前に負荷することにより、先行投与群(Pre群)において最も心機能の回復が良好であった結果が出ている。これはインスリンの心筋保護作用を証明する事象の一つであり仮説通りの結果である。またこの結果はアメリカ麻酔学会(ASA2012.ワシントン)に採択され発表を行うことが出来たこともありおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
目的:高用量インスリンの心筋保護効果の作用機序を解明する。 1.昨年度と同様に、Langendorff 法によるラット摘出心臓標本を作成する。この摘出心臓標本において、心機能指標の測定と、肺動脈から流出する冠流液(coronary effluent)の経時的採取を行う。また、灌流終了時に心臓を瞬間凍結して、心筋内TNF-α量もRat-ELISA Kitを用いて測定する。 2.Coronary effluent中のサイトカイン(TNF-α・IL-1・IL-6)濃度を Rat-ELISA Kitを用いて測定する。 3.上記の実験系において、外部から投与したTNF-αの心抑制作用を高用量インスリンが保護できるか、抗TNF-α抗体・TNF-αレセプター阻害薬によって高用量インスリンの効果が変化するかを検討する。これらの結果から、高用量インスリンの作用機序が、TNF-α産生抑制によるのか、TNF-α自体への作用も関わっているのか解明する。 4.インスリンのPreconditioning作用の有無を確認するために、Coronary effluent中と心筋中のp-Aktの濃度をRat-ELISA Kitを用いて測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度、ラットの心臓を迅速に摘出し、大動脈、肺動脈にカニュレーションをするLangendorff 法による摘出心臓灌流標本の作成にあたり、一定の熟練した技術が必要であるため、安定したモデルを供給可能にするまでの期間が想定以上にかかり測定項目の物品購入が遅れ繰越金が生じた。 次年度は、Rat ELISA Kitに関しては、測定値の信頼度を上げるために各検体をトリプルで測定する計画で、TNF-α・IL-1・IL-6・p-Aktの各項目で、4プレート(96 well/プレート)を購入する。またRat-TNF-αと抗TNF-α抗体は、各5μgx3本が必要であり購入する。液体クロマトグラフィー用カラムは、DHBAを測定するために3本購入する。過去の摘出心臓標本を用いた研究の経験から、その他の消耗品費として、実験動物・灌流用薬剤・測定用薬剤・記録用紙・ピペットチップを該当分購入する。また実験結果からのデータ分析、論文発表のためのパソコン、図表作成ソフトも購入する。
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