研究課題/領域番号 |
23592282
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
土井 松幸 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (10155616)
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キーワード | 光テクノロジー / ブドウ糖濃度測定 |
研究概要 |
平成25年度は,平成24年度に継続してブドウ糖検出センサー素材を検索する基礎情報を得るために以下の研究を実施した。平成25年度は,ブドウ糖に親和性が高い物質として知られているボロン酸化合物を対象にブドウ糖と反応した際の蛍光特性,蛍光強度の濃度依存性,蛍光強度の時間的安定性についてデータを収集した。試薬として調達が可能であったフェニルボロン酸,メチルボロン酸,チオフェンボロン酸を対象に検討を始めた。臨床的な血漿ブドウ糖濃度である200mg/dlまでのブドウ糖を添加した際の,蛍光特性を調べたところ3種類のボロン酸化合物はいずれも単独では,蛍光を検出することができなかったが,アントラセンを結合させたフェニルボロン酸化合物はブドウ糖存在下で370 nm の励起光にて430 nm にピークを持つ蛍光を発生させた。その蛍光強度はブドウ糖濃度依存性であり,12時間まで観察したところ蛍光強度は初期値の90%程度を維持した。アントラセン-フェニルボロン酸化合物が,ブドウ糖検出センサーとして有用であるとの結果を得た。 ブドウ糖検出センサーの検索に平行して,光ファイバーカテーテルのデザインの検討を継続して実施した。ブドウ糖検出センサー装着光ファイバー内蔵カテーテルの設計を再検討した。光ファイバーカテーテルの先端の形状とセンサーの装着方法のデザインを修正した。また励起光を送る入光ファイバーと蛍光を伝達する受光ファイバーの配置もあわせて検討し候補となる配列を追加した。入光ファイバーと光源,受光ファイバーと蛍光検出器との接続部である光カプラの形状も再度検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初2年間で完了する計画であったブドウ糖検出センサー素材の検討に3年間を費やして,アントラセン-フェニルボロン酸化合物を有力な候補として選出することができた。この物質について詳細な検討を進め,当初の目的に到達できるよう遅れを取り戻したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は平成25年度までの研究でブドウ糖検出センサー素材として選定したアントラセン-フェニルボロン酸化合物を対象に詳細な検討を進め光ファイバーカテーテルの先端への装着をめざす計画である。この目標の実現のために以下の研究を実施する。 ・アントラセン-フェニルボロン酸化合物の中で,ブドウ糖検出センサーとしての性能が高い物質(蛍光が強い,可視光で励起できる,励起光と蛍光の差が大きい)を検索する。 ・ブドウ糖検出センサーを薄いゲル状に成形する技術を検索する。 ・血球や血漿蛋白を通過させずブドウ糖を透過させる抗凝固性のブドウ糖検出センサーを覆う皮膜を選定する。 光ファイバーカテーテル,光源と蛍光検出器の試作を当初の計画どおり実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究計画でもっとも経費を必要とするのは,測定装置の試作であるが,平成25年度は測定装置の制作に着手できず部品を購入できなかったために一部の予算を平成26年度に持ち越すことになった。 平成26年度は測定装置の主要部分である光源と蛍光検出器の部品の購入に平成25年度研究費の残額を使用する予定である。またブドウ糖検出センサーの試薬の購入にも引き続き研究費を使用する予定である。
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