平成26年度は,平成25年度に継続してブドウ糖検出センサー素材を検索する基礎情報を得るために以下の研究を実施した。平成26年度は,ブドウ糖検出センサーとしてのアントラセン-フェニルボロン酸化合物の特性を検討した。ブドウ糖と反応した際の蛍光特性,蛍光強度の濃度依存性,蛍光強度の時間的安定性についてデータを収集した。臨床的な血漿ブドウ糖濃度である400mg/dlまでのブドウ糖を添加した際の蛍光特性を調べたところアントラセン-フェニルボロン酸化合物はブドウ糖存在下で370 nm の励起光にて430 nm にピークを持つ蛍光を発生させ,その蛍光強度はブドウ糖濃度依存性であった。連続測定12時間までは蛍光強度は初期値の90%程度を維持したが,その後蛍光強度は徐々に減衰することが観察された。アントラセン-フェニルボロン酸化合物は,ブドウ糖検出センサーとして利用可能であるが,経時的安定性を向上させるための工夫が必要であるとの結果を得た。 ブドウ糖検出センサーの検索に平行して,光ファイバーカテーテルのデザインの検討を継続して実施した。ブドウ糖検出センサー装着光ファイバー内蔵カテーテルの設計を再検討した。光ファイバーカテーテルの先端の形状とセンサーの装着方法のデザインを修正した。また励起光を送る入光ファイバーと蛍光を伝達する受光ファイバーの配置もあわせて検討し候補となる配列を追加した。入光ファイバーと光源,受光ファイバーと蛍光検出器との接続部である光カプラの形状も再度検討した。
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