プロトンMRスペクトロスコピー(1HMRS)を用い、慢性疼痛患者の前帯状回の機能的変化を明らかにすることを目的として研究を行った。慢性疼痛患者では、健常被験者と比べ、NAA濃度および GABA濃度が有意に低下していた。慢性疼痛患者における前帯状回のNAA 濃度およびGABA濃度の低下は、抑制性の神経伝達効率の低下が生じている可能性を意味し、慢性疼痛の病態成立や遷延化に関与する可能性が示唆された。 1HMRSは、実際の臨床現場で患者にタスクをかけることなく、脳内の神経伝達物質濃度を測定できるので、慢性の痛みの客観的な評価法として臨床応用できる可能性がある。
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