研究課題/領域番号 |
23592285
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山崎 登自 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20116122)
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研究分担者 |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50252391)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 虚血再灌流傷害 / マイクロダイアリシス / アポトーシス / セボフルラン / 心臓 / オンコーシス |
研究概要 |
心筋虚血・再灌流時の心筋細胞傷害はオンコーシスとアポトーシスに大別される。前者は傷害直後の細胞から逸脱した蛋白質や酵素から診断でき、我々も麻酔薬による虚血時のオンコーシスの縮小効果等の知見を見出した。一方、後者はオンコーシスにより傷付いた細胞のプログラム細胞死の一つでありミクロ細胞レベルでは多くの知見がある。しかしin vivo での細胞アポトーシス測定には多くの制約があり、いまだ十分な情報が得られていない。今回の研究目的は、このアポトーシスのマーカー測定を我々がオンコーシスで行ってきた手法をさらに発展させることで、経時的に心筋間質レベルで測定できるようにすることである。研究初年度は、マイクロダイアリシス法を用いたラット心筋の透析液中からアポトーシスの指標であるヌクレオソームとシトクロムCを測定できるかどうかを確認しているところである。我々が今までに標準的に使用していたオンコ-シス発現法(30分の冠動脈虚血とそれに引き続き起こる60分間の再灌流傷害)をアポトーシスにも適用しているが、測定値にばらつきがあり現在のところデータを捉えたとの結論に至っていない。そこで、虚血再灌流傷害強度およびヌクレオソームとシトクロムCの発現時間、傷害心筋透析液中の回収率を変化させて、標準的な測定方法を確立する取り組みを行なっているところである。また、それと同時にオンコーシスの指標として透析液ミオグロビン濃度を測定して、オンコーシス、アポトーシスによる虚血再灌流傷害を比較観察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では2年間かけて、アポトーシスの指標であるヌクレオソームとシトクロムCの心筋透析液濃度測定法の確立を目指すこととしている。現時点では測定値にばらつきがあり、いまだ正確な測定として確立できていないが、計画の範囲内と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
虚血再灌流傷害強度およびヌクレオソームとシトクロムCの最大発現時間に合わせたサンプリングや傷害心筋透析液中の回収率を変化させることで標準的な測定方法を確立する取り組みを行なっているところである。また、それと同時にオンコーシスの指標として透析液ミオグロビン濃度を測定して、オンコーシス、アポトーシスによる虚血再灌流傷害を比較観察する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年もヌクレオソーム・チトクロームC をマイクロダイアリシス法で測定し、その濃度応答を確立する。方法:ラット心筋にマイクロダイアリシス法を適応し、サイトカイン(TNFα 、IL8)薬剤(シスプラチン、アドリアマイシン) を用いてアポトーシスを誘導し、血清および心筋間質ヌクレオソーム、チトクロームC 濃度応答を測定する。同時に容量作用曲線を得る。また、透析液中の濃度を高めるため、灌流速度を2,5,10μl/minに変化させてその濃度応答を調べる。(灌流速度を遅くすれば回収率は上がるが、時間分解能が下がるため、どの程度にすればよいか決定する必要がある。)次に冠動脈閉塞時の心筋ヌクレオソーム・チトクロームC濃度応答と組織切片をTUNEL法による応答と比較し検証する。また、オンコーシスの指標として心筋間質トロポニンT 、アポトーシスの指標として心筋間質ヌクレオソームを用い、虚血再灌流傷害による経時的測定を行い、生体モニタリング法を確立したい。
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