研究課題/領域番号 |
23592287
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩平 哲 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90243229)
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研究分担者 |
中江 文 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (60379170)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 実験的痛み / ワーキングメモリ / 注意課題 / 中央実行系 |
研究概要 |
この研究は痛みの制御機構の個人差と、注意機能の制御に関与することが明らかになっているワーキングメモリの大小との関連を明らかにすることを目的とする。そのために、(1)ワーキングメモリの大小と痛み感受性のかかわりの検討、(2)2.ワーキングメモリ課題を行いながら痛み刺激を与えることによる疼痛閾値低下の程度の差を検討、(3)上記で差を認めた群それぞれについて脳機能画像を撮影し、その要因にかかわる部位を明らかにすることを目的としている。本年度は(1)ワーキングメモリの個人差と実験的痛みのかかわりの検討(2)実験的痛み刺激とワーキングメモリ課題の同時施行時の疼痛抑制効果の検討(3)患者研究基盤の確立とデータ取得の開始を行った。(1)(2)については、健常者30名に対しワーキングメモリ課題を行い、さらに、ワーキングメモリ課題を施行しながら痛み刺激を与える研究を行った。その結果、ワーキングメモリ課題を施行しながら痛み刺激を与えると主観的な痛みの強さが弱まる被験者と変わらない被験者が存在した。さらに、ワーキングメモリの課題遂行能力からワーキングメモリの容量の大小の区別を行った。しかし、ワーキングメモリの容量と課題中の痛みが感じにくくなることに有意な相関はなく、ワーキングメモリの容量そのものが関係していない可能性が考えられた。(3)については、本学倫理委員会の手続きを終了し、ペインクリニック内でデータの取得を開始できる許可を得、データ取得の開始を行った。患者に高齢者が多いため対照群をシルバー人材センターの協力を得てデータを取得する基盤の確立も行った。来年度も引き続き患者データの取得予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究は痛みの制御機構の個人差と、注意機能の制御に関与することが明らかになっているワーキングメモリの大小との関連を明らかにすることを目的とする。そのために、(1)ワーキングメモリの大小と痛み感受性のかかわりの検討、(2)2.ワーキングメモリ課題を行いながら痛み刺激を与えることによる疼痛閾値低下の程度の差を検討、(3)上記で差を認めた群それぞれについて脳機能画像を撮影し、その要因にかかわる部位を明らかにすることを目的としている。本年度は(1)ワーキングメモリの個人差と実験的痛みのかかわりの検討(2)実験的痛み刺激とワーキングメモリ課題の同時施行時の疼痛抑制効果の検討(3)患者研究基盤の確立とデータ取得の開始を当初の目標としていた。その目標はほぼ達成することができた。さらに、高齢健常者を集める手段としてシルバー人材センターの協力を得られる体制を整えることができた。また、広告を出すことで、一般の方々から広く健常ボランテイアを募り、患者研究基盤が強固に確立された点で順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
大阪大学に最終年度研究用MRI装置が導入される見込みである。そのため、脳機能画像研究は来年度を中心に行い、本年度は痛み刺激による誘発電位検査を行い、ワーキングメモリタスクによって自覚的に減った痛みの訴えを脳活動の変化としてとらえることを目標とする。そのために、健常者ボランテイア100名程度を募り、ワーキングメモリの容量、各種認知機能検査をあらかじめ行い、ワーキングメモリタスクを行いながら痛みによる誘発電位検査を行う。痛みの減少を他覚的にとらえることを目標とする。さらに、痛みの減少がおこる人と起こらない人で何が異なるのか、さらに、痛みの患者ではどちらのパターンに属する人が多いのか、どちらのパターンに属する人のQOLが高いのかを明らかにすることを目標に研究を行う。最終年度に脳機能画像を行うためのタスクの準備、被験者の選定も同時に行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度はボランテイア謝金(シルバー人材センター発注分も含む)が中心である(1回4000円程度で100人に2回来て頂く予定)。これまでの成果を国際疼痛学会で発表予定、その後論文投稿予定であるため英文校正・投稿料が必要になる。ボランテイアの数が不足する場合には広告を行う(13万円必要)。
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