研究概要 |
5HT1B/1Dアゴニストであるスマトリプタンを癌性疼痛モデル、および皮膚切開モデルに用いた。スマトリプタンは炎症モデルにおいて効果のあった0,06および0.6μgのくも膜下投与を行った。生食群と比較しモノフィラメントによる機械的閾値には変化なくアロディニアの抑制を認めなかった。癌性モデルにおいては骨肉腫細胞を大腿骨に移植し痛みを誘発した。本実験ではモノフィラメントや熱など誘発閾値の変化を見る以外に、侵害刺激だけでなく疼痛行動の評価を行った。自発痛の評価としてflinching、下肢にかかる体重差の測定(weight distribution test),また疼痛関連行動としてopen field test,明暗試験により不安行動、行動量の変化、またwheelに乗せ運動量の測定を行った。スマトリプタンの効果を見るための対象に、明らかに効果のあると予想されるモルヒネ1,3,10mg/kgの全身投与を行った。癌性疼痛モデル作成2週間後、モノフィラメントによる機械的閾値の低下、下肢のflinching, 体重差に有意な変化をもたらした。またopen field test では不安行動の増加、行動量の減少を認めた。wheel試験においては運動量は低下した。一方モルヒネはモノフィラメントによる機械閾値に有意に改善を認めた以外に、運動量や行動量の改善を認めたが、自発痛や体重差、不安行動などの自発行動には変化はなかった。これらの成果については2013年サンフランシスコで開催された米国麻酔学会にて発表を行った。スマトリプタンに関しては機械的閾値とflinchingの試験を行ったが有意な変化はなかった。現在他の試験についても進行している。またスマトリプタンがシナプス後の機序を介さないことを確認するため、スマトリプタン投与後NMDAを脊髄に注入し、疼痛行動を観察したが効果は認めなかった。
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