研究課題/領域番号 |
23592290
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 健治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70359884)
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研究分担者 |
五福 明夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20170475)
西江 宏行 岡山大学, 大学病院, 助教 (20379788)
賀来 隆治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50444659)
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キーワード | バーチャルリアリティ / 認知科学 / 医療・福祉 / 難治性疼痛 |
研究概要 |
我々が開発した、バーチャルリアリティ(VR)を応用した鏡治療は、システムが大掛かりで高価なため岡山大学病院に固定設置され、患者の治療機会が制限される欠点があった。 当該研究の最終年度においては、インターネット上でのVR鏡治療システムの公開を視野に、在宅で加療が可能なモバイル型VR鏡治療システムを完成させた。このシステムに必要な要件は、オリジナルシステムと同等の治療ができること、安価でシステムが構築できることであった。それに加え我々は、治療時の身体動作データを記録できる機能を付加した。市販のゲーム機に使用されているモーションキャプチャー器を応用し、PCの設定が容易で、身体への非接触状態で計測でき、しかも身体動作が正確に計測できるシステムを完成させた。 当該研究で用いる鏡治療やVR鏡治療の対象は、難治性で慢性的に持続する痛みの患者である。その治療機序は、脳内での身体機能の再学習により機能改善を行うニューロリハビリテーションである。そのため患者が治療意欲を維持して治療を継続することが重要である。我々は患者の治療意欲を阻害する要因を検討し、治療意欲維持のための様々な仕掛けをシステムに付加した。システムのユーザビリティはユーザーがそのシステムを使用する意欲に大きく影響するため、治療システムを一体化し改善した。また治療目標となる、患者の治療時間や治療による痛みの程度の変化などをモニター上に提示できるようした。 システムの完成を待って、我々はモバイル型VR鏡治療システムを遠隔の医療施設や患者自宅へ設置し、その治療効果を検証した。特に患者の身体動作のデータ蒐集と健常者のデータを併せた解析も行った。治療タスク中の患者と健常者の身体動作を比較すると異なる特徴が見られた。これら特徴の発見は患者の疼痛の状態を定量的に評価できる可能性がある。それぞれの成果は学会で発表し、論文にまとめた。
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