研究課題/領域番号 |
23592291
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安田 季道 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (20432718)
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研究分担者 |
河本 昌志 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (40127642)
原木 俊明 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40403563)
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キーワード | 悪性高熱症 / リアノジン受容体 / 先天性筋疾患 |
研究概要 |
昨年度までは,多くの先天性筋疾患症例のリアノジン受容体から遺伝子変異が発見されているC末端領域について研究を行った.その結果,C末端の遺伝子変異の多くは先天性筋疾患を発症する場合,その変異が悪性高熱症を発症する可能性は低いことが示唆された.今年度は,中央の遺伝子変異である2508番目のアミノ酸変異に注目して研究を行った.この変異は先天性筋疾患であるセントラルコア病を発症している患者のリアノジン受容体から発見されている.アルギニンからシステイン,ヒスチジン及びグリシンへの変異が今までに報告されている.これらの変異が導入されたリアノジン受容体はすべて,そのアゴニストであるカフェインに対する反応が亢進しており,EC50は野生型であるアルギニンでは1.97 mMであるのに対して,システインでは1.48 mM, ヒスチジンでは1.48 mM,グリシンでは1.33 mMであった.加えて,アルギニンをアミノ酸としての特性が類似しているリジンに変えて実験を行ってみたところ他のアミノ酸と同様にカフェインに対する反応が亢進することが確認された(EC50が1.29 mM ).これらのことから,リアノジン受容体の中央に位置する2508番目のアルギニンはどのアミノ酸に変異しても悪性高熱症に発症する可能性が示唆された.C末端で同じ部位をさまざまなアミノ酸に変異させた場合は,ほとんどの場合カフェインに対する反応が抑制されており,先天性筋疾患を発症した場合にすべての症例が悪性高熱症を発症するのではなく,リアノジン受容体の変異が生じる部位によりその反応に違いが生じることが示唆された.
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