研究課題/領域番号 |
23592292
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
川人 伸次 徳島大学, 大学病院, 講師 (60284296)
|
研究分担者 |
北畑 洋 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60161486)
松久 宗英 徳島大学, 糖尿病臨床・研究開発センター, 特任教授 (60362737)
高石 和美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20325286)
|
キーワード | 周術期管理学 / 再生医療 / 血管新生 / 高血糖 |
研究概要 |
周術期に使用される各種麻酔薬や麻酔管理法は血管シグナリング因子や血管の反応性に影響を及ぼすため、血管新生にも影響を及ぼす可能性がある。本研究の目的は、再生医療における血管新生が周術期管理法、特に近年問題となっている周術期の急性高血糖に影響されるかどうかを基礎研究(in vitro & in vivo)と臨床研究を組み合わせ、様々な角度から検討することである。 今年度は正常ヒト皮膚繊維芽細胞と臍帯静脈血管内皮細胞から構成された血管新生キット用いたin vitro 実験で管腔形成初期段階として枝分かれした管腔ネットワークを直接観察し、高血糖環境における影響を検討した。正常ヒト皮膚繊維芽細胞と臍帯静脈血管内皮細胞から構成された血管新生キット(クラボウ バイオメディカル社製)を用いて、各ウェル中で両細胞を最適濃度で共培養し、高血糖環境モデル(血糖値300 mg/dl以上)を作成した。10日間培養し、管腔形成初期段階として枝分かれした管腔ネットワークを形成させ、血管新生観察・定量システム(倒立型顕微鏡、顕微鏡デジタルカメラ、制御・解析用パソコン、血管新生定量ソフトウェアから構成される)を用いてネットワークを観察した。血管新生の抑制または亢進作用は形成された管腔を管腔染色キットで染色し、スコアリング用グリッドレンズでスコアリングして管腔形成の差として確認した。 高血糖環境はVEGF存在下に血管新生を抑制する傾向を示した。ラット高血糖モデルを用いたin vivo実験を進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞を用いた従来からの研究の継続であるが、新しい手法・評価法(管腔形成初期段階として枝分かれした管腔ネットワークを直接培養し、定量評価する)に取り組んだため、さらに高血糖環境作成の確立に時間を要した。in vivo実験はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、in vivo実験を継続し、その後臨床研究を開始する。 臨床研究はこれまでのin vivo, in vitroの実験結果を臨床で確認することを目的とする。手術侵襲、手術時間がほぼ一定で呼吸・循環の変動が少ない下腹部手術を対象とする。血糖値150-200 mg/dlを目標にした従来療法群と人工膵臓(血糖連続モニター・自動制御システム:日機装社製)を用いて血糖値100-150 mg/dlを維持する強化インスリン療法群でセボフルラン麻酔下の術中の血中VEGF濃度の変動を比較する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は臨床研究が中心となるため、新規購入する設備備品等はない。主に試薬類などの消耗品費と研究成果発表のための旅費等に使用する。繰越金は試薬類などの消耗品購入に使用する予定である。
|