研究課題/領域番号 |
23592300
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
松本 重清 大分大学, 医学部, 准教授 (90274761)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 敗血症 / 副腎不全 / 電子スピン共鳴 / ビタミン |
研究概要 |
抗酸化ビタミンであるビタミンC(VC)は酸化ストレスにより低下し、酸化ストレスが大きいほど、VCの低下も大きくなるため、血清VCを測定すれば、酸化ストレスの程度を知ることが可能となる。 測定に非常に時間を要する高速液体クロマトグラフィーで測定された血清VC濃度は、電子スピン共鳴装置により短時間で測定可能な血清ビタミンCラジカル/DMSO(VCR/DMSO)と正の相関を示すため、ヒトにおいて、血清VCR/DMSOを測定すれば、リアルタイムに血清VC濃度を推定できるとわれわれは以前に報告した。 平成23年度では、ラットにおいても、ヒトと同様に、血清VCR/DMSOと血清VCは正の相関を示すことを明らかにした。またラットはヒトと異なりVCを体内で合成できるため、酸化ストレスが誘導されても、VCの合成量を増やすことによって血清VC濃度は変化しない可能性も懸念されたが、過剰な酸化ストレスを誘導することが知られている敗血症のラットモデルにおいて、モデル作成後24時間で血清VCR/DMSOは著減し、過剰な酸化ストレス状態に陥っていることが示唆された。 また本モデルの生存率は作成後24時間では90%以上であるが、作成後48時間では50%まで減少するため、当初の計画通り、6、12、24時間後に各種測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初かなり時間がかかることが予想されていた、電子スピン共鳴装置を用いて、リアルタイムに敗血症ラットにおける酸化ストレスの程度を評価する方法の確立に成功した。 23年度はVCR/DMSO以外の酸化ストレスの指標も測定し、敗血症ラットモデルにおいて過剰な酸化ストレスが生じていることをより確実に証明する予定であったがまだ終了していない。また視床下部-下垂体-副腎(HPA)系ホルモンや炎症反応の測定もまだ同様に終了していない。しかし、これに関しては血清を保存しているため、いつでも測定できる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
血清VCR/DMSO以外の酸化ストレスの指標(8-OHdGやmalonaldehydeなど)に関しては、24年度に測定する。同時に、視床下部-下垂体-副腎(HPA)系に関与する各種ホルモン(コルチゾール、バソプレシン、ノルエピネフリンなど)や炎症反応の指標(TNF-αなど)も測定し、酸化ストレスとHPA系の各種ホルモンや炎症反応との関係を明らかにする。 これらの関係を明らかにした後、新規ビタミンE誘導体のETS-GSを敗血症ラットモデルに投与して、酸化ストレスや各種ホルモンの変化を調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
敗血症モデル作成に必要な動物やLipopolysaccharideの購入、また酸化ストレスの指標(8-OHdGやmalonaldehydeなど)の測定キットや各種HPA系ホルモン測定キット、炎症反応測定キットなどの購入に使用する。
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