研究課題/領域番号 |
23592303
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50234539)
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研究分担者 |
矢澤 卓也 杏林大学, 医学部, 准教授 (50251054)
馬場 靖子 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 講師 (80453041)
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キーワード | 急性肺障害 / FasL / アポトーシス |
研究概要 |
【方法】9-10週令のSD ラットに対して,全身麻酔下に気管切開を行い,両側開胸後,以下の3群に分けた.OLV群:右片肺換気(one lung ventilation:OLV)4時間→両肺換気4時間;CPAP群:右OLV+左肺への100%酸素 5 ㎝H2OのCPAP付加 4時間→両肺換気4時間;sham群:両肺換気8時間 実験終了時の肺ホモジネート中の炎症性メディエーターの定量を行い,左右の肺に分けて各群で比較した.分離肺換気中の左右肺の血流を比較するために,In111標識MAAの集積を定量した.また,再両肺換気後の肺ホモジネート中のMalondialdehyde(MDA)の測定,分離肺換気終了時のHIF-1αsubunitおよびその下流遺伝子の定量的RT-PCRを行った. 【結果】分離肺換気中の肺へのMAA-In111集積の左右比はsham群と比較し,OLV群で約4分の1に低下したが、CPAP群ではsham群とほぼ同等まで回復した.肺ホモジネート中のCINC-1濃度は,虚脱側においてOLV群で有意に増加が見られ,CPAP付加により軽減された.換気側においてもOLV群でCINC-1が増加し,CPAP付加にて軽減される傾向があった.TNF-αについても同様の傾向が見られた.ICAM-1については各群で差はなかった. 分離肺換気中のOLV群の虚脱側肺においてHIF-1の下流遺伝子であるVEGFA,GLUT-1の発現量が増加する傾向が見られた.一方、再両肺換気後のMDAについては各群で差はなかった.分離肺換気中のOLV群の虚脱側肺においてHIF-1の下流遺伝子であるVEGFA,GLUT-1の発現量が増加する傾向が見られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivoとin vitroの順序は変更になったが、一年でやり上げる予定の内容はほぼ計画と同様のペースですすんでいるため。すなわち、本年度はin vivoの系で肺障害をきたす条件を確立し、またその機序も明らかにされているため。
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今後の研究の推進方策 |
in vivoの結果を受けて、HIF-1が組織の低酸素の際にどのように発現してその後どのような機序で炎症や細胞障害をきたすかを、肺胞上皮細胞のcell lineもしくはprimary cell cultureを用いて検討する。具体的には、MLE15細胞またはMLE12細胞に対してLPS、FasLまたはTNF-alphaの刺激を与え、normoxiaとhypoxiaの環境での反応を調べる。結果の検討は、caspase-3/7の活性化、Annexin Vアッセイによる早期apoptosis細胞の定量、炎症の指標であるサイトカインやケモカインの発現(CXCL-1, IL-6, TNF等)をELISAで定量、HIF-1およびその下流の遺伝子(GLUT-1、VEGFA等)の半定量で行う。次いでこれらの細胞に対してHIF-1のsiRNAを行いHIF-1の役割を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
細胞培養のために、細胞培養液・血清・添加物の購入。 Caspase、Annexin V、サイトカイン、PCR等のアッセイのキット購入。 プラスチック製品・試薬類等の購入。 学会発表、打合せ等のための旅費。 成果発表(論文)のための英文校正、投稿費、カラー図代、リプリント代。等 本年度の内容の一部を来年度実施に変更したため、当該繰越金が生じた。
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