研究課題/領域番号 |
23592303
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50234539)
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研究分担者 |
矢澤 卓也 杏林大学, 医学部, 准教授 (50251054)
馬場 靖子 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 講師 (80453041)
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キーワード | 急性肺傷害 / HIF-1 / 肺胞上皮細胞 / ARDS / TLR-4 / アポトーシス / FasL |
研究概要 |
最終年度の成果 【方法】最終年度は主にin vitroの系を用いて、肺上皮細胞のcell line(MLE-15)におけるサイトカインや転写因子の動向を、低酸素環境で培養をした場合及び、予めHIF-1をsiRNAでknock downした後に低酸素に暴露した場合において調べた。 【結果】低酸素培養(5% O2)がNF-κB及びHIF-1の活性化をもたらし,TNF-α刺激によるCXCL-1の分泌を増加させた。これらの反応におけるHIF-1の役割を調べるためにHIF-1αのknock downをした細胞では,低酸素誘導によるCXCL-1分泌の増加は増強された。 本年度の成果と前年度までのin vivoの成果を総合すると、以下のような結論になる。 分離肺換気中の非換気側肺においては炎症性メディエーターの増加が見られ、低酸素が主な原因の一つだと考えられた。分離肺換気中の非換気側へのCPAP付加がこれらの変化を抑制したことから、胸部手術に伴う肺傷害の予防法になる可能性があると考えられた。この現象を普遍化し、急性呼吸窮迫症候群の如くの病態において無気肺を減らすような人工呼吸法(高PEEP, APRVなど)を用いることは、動脈血酸素分圧を上げる目的に止まらず低酸素による肺の炎症を減らし肺傷害を軽減する可能性が示唆された。またHIF-1は低酸素によるTNF-α誘導性炎症の増強に対して抑制的に働いており,HIF-1を活性化することが肺傷害の新たな治療的アプローチとしての可能性を持つことが示唆された。
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