研究課題/領域番号 |
23592309
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
土屋 正彦 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80253350)
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研究分担者 |
佐藤 英介 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60211942)
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キーワード | 活性酸素 / 手術侵襲 / 麻酔管理 / サイトカイン / 神経ブロック |
研究概要 |
手術侵襲と酸化ストレスの関係について研究を進め,以下のことを明らかにした。 (1) 手術侵襲や敗血症などで重要な生理機能を司るマクロファージからのサイトカイン産生反応の分子メカニズムを解析し、ミトコンドリアとMARK pathwayの重要性を明らかにした。 (2) 手術前の酸化ストレス病態が、術後の回復過程や合併症の発症を決定する重要な因子であることを明らかにした。さらに、麻酔管理法を工夫することにより酸化ストレス病態の影響を軽減できることを明らかにした。 (3) 手術侵襲の一つである、術後疼痛の軽減方法について、様々な神経ブロックを行い,その有効性を明らかにした。さらに、心血管系に重大な合併症を有するハイリスク症例の手術ほど、神経ブロックを併用することにより予後を改善できることを証明した。また、局所麻酔薬に低分子デキストランを添加することにより、神経ブロックの持続時間を伸ばし,同時に局所麻酔薬中毒を予防することができることを明らかにした。 以上の一連の研究により、麻酔管理法により患者の予後を改善できる可能性が明らかとなり、外科治療における麻酔科学の新たな重要性が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎実験がやや遅れているが,それ以上に臨床域での研究が進んでいる。総じてほぼ予定通り進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレスと手術侵襲との密接な関係が明らかとなった。今後は,酸化ストレスを軽減することにより手術侵襲を軽減し患者の予後を改善できるのかという治療面の研究が必要である。基礎と臨床の研究を織り交ぜながら進めていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗状況に記したように、全体としてはほぼ予定通りであるが,条件の設定などに手間取り、一部の研究はやや遅れている。そのため次年度使用額が生じた。研究が遅れた結果、研究成果の発表も遅れ、旅費等が予定通り消化できなかった。 核酸の酸化的代謝産物である8OH-dGの測定系を完成し、手術侵襲における酸化ストレスの重要性と、酸化ストレスを軽減することによる有効性を研究する。 また、一部の研究成果をまだ学会では発表していない。学会発表時の旅費にも使用する。
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