手術侵襲には酸化ストレスが大きな役割を果たしているが、その評価方法は十分に確立されていない。我々は、酸化ストレスにより産生される酸化的代謝物の過酸化脂質に注目し、特殊な呈色反応を用いて過酸化脂質を定量する測定法を確立した。この方法により解析した結果、心臓手術患者では、術前の過酸化脂質値が高い症例ほど術後の重症度が高いことが判明した。抗酸化治療確立に向けた研究では、大腸癌手術患者で、抗酸化作用を有する局所麻酔薬を用いて神経ブロックを行うと、全身麻酔のみの場合と比較して術中の循環動態が安定することを明らかにした。さらにアポトーシスや白血球の免疫反応への酸化ストレスの関与についても研究を進めた。
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