難治性腰下肢痛の最新治療である硬膜外腔鏡とスプリングコイルカテーテルを用いた神経周囲の癒着剥離法の差異を明らかにする目的で,臨床症例における検討を行った. 硬膜外腔鏡は,(1)セルジンガー法を用いてイントロデューサーを仙骨裂孔より硬膜外腔に挿入し,(2)あらかじめビデオガイドカテーテルを装着した細径内視鏡を,イントロデューサーを通して硬膜外腔に挿入し,(3)生理食塩水を注入しながら,硬膜外腔の観察,潅流,洗浄,癒着剥離を内視鏡下で行い,必要に応じてX線透視や造影剤を併用した.その結果,腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎手術後症候群に対し本治療法が有効であることが判明した.なかでも,本治療法は癒着部位を物理的に剥離する上で有用と考えられた. スプリングコイルカテーテルは,(1)セルジンガー法を用いてスプリングコイルカテーテルを仙骨裂孔または椎間孔より硬膜外腔に挿入し,(2)硬膜外腔の癒着剥離をX線透視下で行い,必要に応じて造影剤を併用した.その結果,腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎手術後症候群に対し本治療法が有効であることが判明した.なかでも,本治療法は罹患部位に薬液を投与する上で有用と考えられた. 硬膜外腔鏡とスプリングコイルカテーテルを用いた神経周囲の癒着剥離法の治療成績を向上させうる方法を見いだすための実験動物における腰痛モデル作成を試みた.セボフルラン麻酔下のブタを用い,手術による腰痛モデルを作成した.
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