研究課題/領域番号 |
23592312
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 健二 東海大学, 医学部, 講師 (10317779)
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研究分担者 |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Dセリン / 疼痛 / セリンラセマーゼ / Dアミノ酸酸化酵素 / 術後痛 / モルヒネ |
研究概要 |
申請者らは、Dセリンがグルタミン酸受容体の1つのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の内因性リガンドであることを初めて明らかにした。これまでに鎮痛効果の下行性疼痛抑制経路においてグルタミン酸が関与することを示唆する知見があるが、Dセリンの関与に関する知見は得られていない。本研究では疼痛下あるいは非疼痛下においてDセリン合成酵素のセリンラセマーゼ(Srr)およびDセリン分解酵素のDアミノ酸酸化酵素(DAO)の遺伝子発現、タンパク質発現およびDセリン量がモルヒネ投与によりどのように変化するかについて明らかにすることを目的とする。本年度は術後痛モデルラットを作成した。すなわち、ラットの後肢足底に1cmの長さで筋膜まで切開、筋肉を剥離し、皮膚を5-0ナイロン糸にて2カ所マットレス縫合を行う。手術後経時的に7日目まで熱刺激による鎮痛試験、Von Frey test、重心比重試験を行い疼痛閾値の低下を観察した群を術後痛モデルとした。術後痛モデルラットの髄および脳(線条体、海馬、大脳、間脳、中脳、小脳、橋延髄の7部位)をサンプリングした。SrrおよびDAOのmRNA量変化について解析した結果、Shamモデルに比べて脊髄においてSrr mRNA量が増加するとともにDAO mRNA量が減少した。これらの結果は、髄腔内Dセリン量が増加する傾向に変化することを示唆している。今後は術後痛モデルラット脊髄におけるDセリン量について解析し、Dセリン代謝関連酵素と疼痛との関連性、さらに術後痛モデルラットにモルヒネ投与後のDセリン代謝関連酵素変化について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は術後痛モデルラットを用いて脊髄におけるDセリン量について解析し、Dセリン代謝関連酵素と疼痛との関連性を示す結果を得ることが出来た。本年度に行う予定の実験が終了したため研究費の一部を使用せず、翌年度に繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は術後痛モデルラット脊髄におけるDセリン量について解析し、Dセリン代謝関連酵素と疼痛との関連性、さらに術後痛モデルラットにモルヒネ投与後のDセリン代謝関連酵素変化について検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
疼痛モデル動物作成のために動物購入代金、試薬類の購入費用などが研究費の大部分を占める。また、特にHPLCによるDアミノ酸解析に必要な試薬などが次年度で必要になる。平成23年度に使用しなかった予算(8,589円)を平成24年度で主に試薬代金に当てる予定である。
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