研究課題/領域番号 |
23592317
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
大島 勉 公益財団法人がん研究会, 有明病院麻酔科, 副部長 (50223805)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 前頭前野 / セロトニン下行性抑制系 / 急性痛 / 癌性疼痛 |
研究概要 |
本研究の目的は、運動性鎮痛機序を解明し、急性痛への影響、延いては癌性疼痛緩和の一手段としての運動療法の有効性を評価する新たな視点及び尺度として、感情・意欲・創造を司るヒトの脳の前頭前野とセロトニン下行性抑制系の活動及びそれら両者間の相互作用を検討しつつ、前頭前野・セロトニン下行性抑制系を介する急性痛および癌性疼痛の制御法を模索することである。平成23年度の研究実施計画としては、自転車漕ぎ運動が脳波、前頭前野脳血流、心理、そして体内セロトニン動態に及ぼす影響を検討することであった。対象は健常成人ボランテイアであり、脳波測定用の電極を国際10-20法のCzとPzに装着、近赤外線による光計測装置(NIRS)における皮質脳血流測定用の専用のプローベを前頭部に装着した。次に、中等度の負荷に設定された自転車エルゴメーターを毎分60回転程度の速度で15分間から20分間かけて漕ぐ。自転車漕ぎ運動中は脳波、大脳皮質血流および心拍数を測定した。自転車漕ぎ運動の前後では心理学テストであるPOMSおよび採尿、採血を実施、採血は自転車漕ぎ運動終了後30分の時点で、採尿は自転車漕ぎ運動終了後30分と60分の時点でも行った。この採血・採尿のサンプルを用いて血中および尿中のセロトニン濃度を測定した。さらに、痛みの評価法として施行するVisual Analogue Scaleおよび運動生理学で用いられる侵害逃避反射の筋電図評価を確立することを目標とした。侵害逃避反射の検出、分析に関しては上肢より下肢においての方が確立しているが、今回は自転車漕ぎ運動によって下肢は動くので、上肢を選択せざるを得なかった。対象となる筋は腕橈骨筋と橈側手根伸筋のいずれかが予想されたが、これは腕橈骨筋の方が侵害逃避の一要素である肘の屈曲に関わることから、より適した観察対象であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災によるさまざまな混乱もあり、研究費交付の遅延のみならず、器物破損などの被害による影響も少なからずあった。
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今後の研究の推進方策 |
達成度の遅延に関しては、時間的には休日返上もやむを得ないかもしれない。震災による器物破損に対する対応に今後当初の計画以外の支出も予想される。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初は動物実験の並行を視野に入れていたが、それよりは当該年度の研究計画遂行に全力を注ぐことになるかと思われる。さらに、震災によって破損された器物の修理や購入にも研究費を使用せざるを得なくなることと思われる。
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