本研究の目的は運動性鎮痛のメカニズムを解明し、急性痛、延いては癌性疼痛への影響を検討し、これらの軽減の一手段としての運動療法の有効性を評価する上での視点・尺度として感情・意欲・創造を司るヒトの脳の前頭前野とセロトニン下行性抑制系の活動および両者の相互作用を検討することである。運動性鎮痛のモデルとして、運動はリズム運動である自転車漕ぎ、痛みは第2指への電気刺激を採用した。自転車漕ぎによる鎮痛の特徴として、発現は遅延性であり、運動終了後もその作用は持続する。その機序としては前頭前野およびセロトニン下行性抑制系の活性化が考えられる。癌性疼痛などの慢性痛への応用は今後の課題である。
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