研究課題/領域番号 |
23592318
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
白石 成二 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (90216177)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | がん性疼痛 |
研究概要 |
癌性疼痛治療に対するオピオイド非感受性におけるmiRNAの役割本研究の目的は、がん患者のオピオイド非感受性において見られるmiRNAの異常と細胞膜でのμ-opioid受容体の発現の変化やオピオイドに対する感受性の低下の関係を明らかにし、がんの難治性骨転移痛やオピオイド耐性の発生メカニズムを解明することである。平成23年度はがん骨転移モデルラットを作製し、miRNAアレイキットを用いて異常miRNAの解析を行った。8週齢Female Fischer 344 ラットを麻酔下に左大腿骨骨髄内に、乳がん細胞を移植してがん骨転移モデルを作製した。疼痛過敏とアロディニアをvon Frey test、 gurding Limb-use abnormality、Guarding behavior、paintbrush touch test を用いて評価した。乳がん細胞移植後1週間から有意に疼痛過敏とアロディニアが発生し、進行性に悪化した。移植2週間後に深麻酔下にサンプリングを行い、miRNAアレイキットにてmiRNAを解析した。 約700のmiRNAについて正常ラット、シャム手術ラット、乳がん移植ラットでmiRNA発現の増減を解析した。現在、これらのmiRNAを網羅的に検討し、オピオイド非感受性と関連するかどうか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、がん患者のオピオイド非感受性において見られるmiRNAの異常と細胞膜でのμ-opioid受容体の発現の変化やオピオイドに対する感受性の低下の関係を明らかにし、がんの難治性骨転移痛やオピオイド耐性の発生メカニズムを解明することである。 平成23年度はがん骨転移モデルラットを作製し、miRNAアレイキットを用いて異常miRNAの解析を行う予定であった。しかし、測定できた異常miRNAの数が多く、どのmiRNAがオピオイド非感受性に関連しているか、miRNAデータベースから検討するのに時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
オピオイド非感受性に関する異常miRNAをデータべースからすみやかに同定を行う。これにより異常miRNAを用いて平成24年度に予定されている研究を行う。すなわち異常miRNAと細胞膜でのμ-opioid受容体の発現の変化やオピオイドに対する感受性の低下の関係を明らかにし、がんの難治性骨転移痛やオピオイド耐性の発生メカニズムを解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、異常miRNAと細胞膜でのμ-opioid受容体の発現の変化やオピオイドに対する感受性の低下の関係を明らかにする。1)異常なmiRNAのμオピオイド受容体の活性化に対する影響を調べる。正常ラットからDRGを摘出し初代培養細胞を作製する。μオピオイド受容体のアゴニストであるDAMGOで刺激した時の活性をラベルフリーセルベースアッセイシステムCellKey systemにて調べる。CellKey systemは生細胞内外の高周波に対する電気抵抗変化を測定することにより、薬剤添加前後の細胞の形態変化をリアルタイムでモニターし受容体応答やシグナル伝達を解析するシステムである。異常miRNAをトランスフェクションしDAMGOによる活性化に変化がみられるか調べる。DRGへの異常miRNAのトランスフェクションが困難な場合は、HEK293にμオピオイド受容体と異常miRNAを導入して測定を行う。2)μオピオイド受容体の細胞膜での発現に対する異常miRNAの影響を調べる。HEK293にμオピオイド受容体+GFP(Green Fluorescent Protein)のcDNAを導入し、μオピオイド受容体+GFPを発現させる。μオピオイド受容体+GFPのcDNA導入と同時に、異常miRNAも導入し,細胞膜でのμオピオイド受容体+GFPの発現変化を共焦点顕微鏡で調べる。オピオイド非感受性に関する異常miRNAをデータべースから同定に関する費用と動物ラットや試薬等の物品費に使用する。
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