研究概要 |
本研究の目的は、がん患者のオピオイド非感受性において見られるmiRNAの異常と細胞膜でのμ-オピオイド受容体の発現の変化やオピオイドに対する感受性の低下の関係を明らかにし、がんの難治性骨転移痛やオピオイド耐性の発生メカニズムを解明することである。まず、乳がん骨転移モデルラットを作製し、miRNAアレイキットを用いてmiRNAの変化を解析した。乳がん細胞移植後1週間から有意に痛覚過敏とアロディニア症状が発生した。移植2週間後に深麻酔下にサンプリングを行い、miRNAを測定した。対照と比較して2倍以上増加したmiRNAは56個で、1/2以下に減少したmiRNAは9個であった。これらを異常miRNAとした。1)HEK293細胞に恒常的にμ-オピオイド受容体を発現させて、DAMGOで刺激した時のμ-オピオイド受容体活性に対するこの異常miRNAによる影響を検討した。異常miRNA の1つであるlet-7について検討を行ったが、DAMGOによる活性に変化は見られなかった。ただしlet-7が影響したかどうか確認できていない。2)μ-オピオイド受容体の細胞膜での発現に対する異常miRNAの影響をHEK293にμ-オピオイド受容体+GFPを発現させて検討した。let-7を導入し, 細胞膜でのμ-オピオイド受容体+GFPの発現変化を調べた。しかし、let-7導入のばらつきのためか一定の結果に至っていない。 今回の研究結果では異常miRNAの数が多くすべてのmiRNAを検討できなかった。異常miRNAにはμ-オピオイド受容体との関連が報告されているlet-7、miR-20a、miR-21、 miR-23b、 miR-133a、 miR-133bなどが含まれていた。
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