研究課題/領域番号 |
23592320
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
篠原 信雄 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90250422)
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研究分担者 |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任准教授 (40399952)
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399919)
野々村 克也 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60113750)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 末梢循環主要血管内皮細胞 / 転移性腎癌 / 診断・治療バイオマーカー |
研究概要 |
1.転移性腎がん患者からのCirculating ECの分離、培養法の確立 新規に分子標的治療(Sunitinib, Sorafenib, Everolimus)を開始するに当たり、1コース(6週間とする)につき開始前、4週間後の2回採血(1回につき10ml、1コースあたり20ml)を行った。方法は、採取した末梢血液からショ糖勾配法にて赤血球を沈殿させ、単核球分画(peripheral blood mononuclear cell: PBMC)を回収しフローサイトメトリーでCirculating EC(CD31(+) CD45(-))を解析の後・分離した。一部は血管内皮専用培地に播種して培養を行い、残りはさらに解析を行った。2.これまで同定されているTumor ECマーカーのCirculating ECにおける遺伝子発現解析。 上記の方法で採取した細胞を、培養を経ずにフレッシュな状態でフローサイトメトリーにより解析した。これは、単核球分画をCD31(+/-),CD45(+/-)で、4種類の分画に分類し、Circulating ECの分画(CD31(+),CD45(-))のfractionに血管内皮のマーカーであるCD105、CD144などの抗原陽性。UEA-Lectin結合やDiI-Ac-LDL取り込みなどを確認した後RNAを分離した。このRNAを用いて、これまで同定されているTumorECマーカーとの相関について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者のPS値が高いなどの理由により、新規に分子標的治療を開始するための適格基準に該当する患者数が少なかった。また、治療中でも、副作用や合併症などで、1コースが経過する前に分子標的薬治療を中断する患者もいたため、解析するためのデータ数がまだ十分とは言えないため、研究計画は遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
1.フローサイトメトリーを用い、転移性腎がん患者の臨床病期、組織型と末梢血中のCirculating EC数 (CD31(+) CD45(-))の相関や血管内皮マーカーの解析。 健常人と比べて悪性疾患の患者ではCirculating ECが多く、悪性リンパ腫の化学療法後にCirculating EC 数が減少することが確認されている。転移性腎癌患者においても臨床病期や組織型とCirculating EC数に相関が見られるかについて解析する。上述のように採取したRNAから、これまでに共同研究室で同定してきた正常血管内皮には発現が低いが、腫瘍血管内皮に高く発現する遺伝子(TEM8、CD13、Dkk-3)をreal-time PCRによって確認する。また、他の新規のマーカーについても探索的に解析する予定である。 2.Circulating ECを用いたin vitroアッセイの確立ならびにCirculating ECアッセイによる血管新生阻害剤の治療効果判定評価法の確立。 Tumor ECに遺伝子発現やシグナル伝達経路を考慮して、それらを標的としたin vitroで入手可能なkinase inhibitsiRNA を作成し、Circulating ECでのKnock downを試みる。その後、細胞の血管新生因子に対する反応性の変化、阻害剤への感受性の変化を増殖能、遊走能への影響を通して検討する。 転移性腎癌患者に分子標的薬(Sunitibnib)を開始すると一時的にCirculating ECが上昇するが、その後低下することが確認されているが、この現象が治療後の効果判定や予後と相関する可能性がある。今回の研究でこの点についても患者の臨床経過を追跡し解析予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
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