研究概要 |
悪性疾患の患者の末梢血におけるCirculating ECをCD144, CD31, CD105の陽性, CD45陰性の分画として解析した.悪性腫瘍の患者は健常者に比べ優位にCEC数が多かった.さらに新規の分子腫瘍血管内皮マーカーとしてわれわれが同定した, PTGIRについてもその細胞表面マーカーの発現の解析を試みた.現在ごく微量のCEC中のTEC の分画をフローサイトメトリーにて検出することを目指し,数種類の抗体を用いて検討中である.なお,CECから採取したRNAから、これまでに共同研究室で同定してきた正常血管内皮には発現が低いが、腫瘍血管内皮に高く発現する遺伝子の発現(CXCR7, Biglycan, PTGIR, PTGFRなど)をreal-time PCRによって確認した。 また腫瘍摘出前,摘出後のCEC数に関しても比較を行った.CECの数は摘出前に多い傾向があった.CECにおけるTECマーカーのmRNA発現(Biglycan)は摘出前により高かかった.なお網羅的な解析を試みたが,分離できるCECの数が少なくRNA量は1ug 以下であり,通常のマイクロアレイに不十分であることがわかった. さらにマウス腫瘍モデルを用いて、転移能の高い腫瘍においては転移能が低い腫瘍に比べCECが高く,転移能とCEC数が相関することを見出した.今後は治療後の効果判定や予後との相関についても患者の臨床経過を追跡し解析予定である。
|