非生菌BCG 製剤を用いた転移がんの治療 Mycobacteriuma bovis bacillus Calmette-Guerin (BCG)膀胱内注入(膀注)療法は最も臨床的有用性が確立した癌免疫療法である。BCG は膀注療法以外にも様々な投与方法で進行がんや転移がんに対する免疫治療としてその有効性が検討されてきたが、生菌を用いることによる副作用のため実用化されなかった。我々はBCG 菌細胞壁骨格(BCG-CWS)をリポソーム化することによって生菌を用いないBCG 製剤を開発するとともに、これを用いた進行がん、転移がんの新規BCG 免疫治療の基礎的検討を行う。北海道大学、日本BCG社との共同研究で開発したBCG-CWSリポソーム製剤によるマウス皮下接種モデルにおいては、十分な抗腫瘍効果を得ることが出来た。しかし、工業化するにあたっては、滅菌の問題が生じる。すべての製造工程を滅菌工程にするにはコストがかかるため、粒子径を0.22μmまで小さくすることで、フィルター滅菌が可能にある製剤の開発を行っている。共同研究者である北海道大学で開発された粒子径を小さくする技術(特許申請中)を用いた新しいリポソーム製剤による抗腫瘍効果を検討している。今後は正所性モデルを用いた、膀胱内注入モデルでの抗腫瘍効果を測定する。
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