研究概要 |
H25年度は、H24年度に引き続いて、当教室で樹立したパクリタキセル耐性前立腺癌培養細胞株PC-3-TxRとDU145-TxRを用いてノスカピンの抗腫瘍効果を確認した。PC-3-TxRとDU145-TxRはドセタキセルに対しても交差耐性を示している。親株であるアンドロゲン非依存性細胞株PC-3とDU145に対してノスカピンを投与して、抗腫瘍効果を観察したが、耐性株においても同程度の抗腫瘍効果を示した。ドセタキセル、パクリタキセル耐性にはMDR-1からコードされるP-glycoproteinが発現を亢進して薬剤を細胞外に排出させるはたらきがあるが、ノスカピンはP-glycoproteinと親和性があまりないと考えられた。このノスカピンの作用に対して、抗腫瘍作用を持ち天然に存在している植物フラボノイドとの相乗的作用を検討する目的で、NSAIDであるIndomethacinやNaproxenや様々な植物フラボノイド(Tangeritin, Nobiretine, Hesperitin, Naringeninを用いて前立腺癌細胞LNCaPに対するアンドロゲン応答能への影響をまず明らかにした。IndomethacinやNaproxenはほとんどアンドロゲン応答性を変渇せなかったが、植物フラボノイドはすべて濃度依存的にアンドロゲン応答性を減弱させた。特にNaringeninの作用が最も強く10μMの濃度で、アンドロゲン応答性を1/5以下に低下させた。
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