研究課題/領域番号 |
23592328
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小中 弘之 金沢大学, 大学病院, 講師 (40334768)
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研究分担者 |
京 哲 金沢大学, 医学系, 講師 (50272969)
北川 育秀 金沢大学, 大学病院, 助教 (00452102)
角野 佳史 金沢大学, 大学病院, 助教 (10397218)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 核内受容体 / NF-κB / クロストーク / AR / GR / ER / 転写活性 |
研究概要 |
本年度は,核内受容体スーパーファミリーに属する,アンドロゲン受容体(AR),グルココルチコイド受容体(GR),エストロゲン受容体(ER)の転写系と,転写因子NF-κBのシグナル伝達系のクロストークという新たな観点から前立腺癌再燃メカニズムを解明すると共に,そのクロストークを標的とした各種シグナル伝達阻害技術を駆使して,去勢抵抗性前立腺癌に対する包括的治療戦略を構築することを究極の目的のもと,前立腺癌における核内受容体の発現プロファイル,発現ベクターの構築,核内受容体とNF-κBのクロストーク,NF-κBの活性化抑制による殺細胞効果とし,主としてin vitroでの実験を計画する.AR,GR,ERを介した転写系とNF-κBシグナル伝達系の包括的解明に取り組んだ. その結果,アンドロゲン依存性前立腺癌株LNCaP,アンドロゲン非依存性前立腺癌株PC-3,DU145,正常前立腺上皮細胞PrEC,正常前立腺間質細胞PrSC,乳癌細胞株(コントロール)における,AR,GR,ERαおよびERβの発現プロファイルや,癌化ヒト組織アレイの前立腺癌版における核内受容体の発現を明らかにした.さらに,CMVプロモーターによってGR,ERβがドライブされる発現ベクター(pCMV-GRとpCMV-ERβ)を構築した. これは,これまでにも基礎研究から臨床試験までに渡って去勢抵抗性前立腺癌に対する各種治療戦略の取り組みが精力的に検討されてきたにもかかわらず,必ずしも大きなブレークスルーがなかったという背景において,去勢抵抗性前立腺癌に対する新たな治療法の開発に向けたプロローグとして大変意義深いものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
核内受容体の発現プロファイルと発現ベクターの構築に関する進捗状況は良好で,期待された成果が出始めている. 一方,核内受容体とNF-κBのクロストークに関する検討,すなわちそれぞれのリガンドによって誘導されるAR,GR,ERの転写活性がNF-κB転写活性を抑制するか,逆にNF-κB活性を誘導することによってAR,GR,ER転写活性が抑制されるか,についての実験が進んでいない.また,NF-κB活性阻害によるin vitro殺細胞効果の検討に必要なドミナントネガティブ,デコイ,siRNA,プロテアソーム阻害薬の準備作製が完了していない.
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今後の研究の推進方策 |
24年度は,これまでの計画を取り戻すべく,核内受容体とNF-κBのクロストークに関する検討とNF-κB活性阻害によるin vitro殺細胞効果の検討に重点を置いて実験の遂行に全力を上げると共に,24年度以降の計画に予定されているSCIDマウスを用いた担癌モデルの作成に着手する予定である.同モデルの確立は,今後のNF-κB阻害薬による抗腫瘍効果やアデノウイルスベクターによる抗腫瘍効果を検討するin vivo実験の成否のカギを握る極めて重要な推進課題である. さらには,アデノウイルス発現ベクターの作製に取り掛かる予定である.すなわち,既に構築したpCMV-GR,pCMV-ERβプラスミドからCMVプロモーターとGRあるいはERβをインサートとして切り出し,コスミドベクターに挿入する.次に,このコスミドとEco T22I処理を行ったDNA-TPCを,E1A・E1Bを恒常的に発現している293細胞へトランスフェクションして,ウイルスDNAとコスミドDNAとの相同組み換えによってAd-CMV-GRとAd-CMV-ERβを作製する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究経費ついては,当初の予定通り,SCIDマウスを用いた担癌モデルの作成,NF-κB阻害薬によるin vivo抗腫瘍効果の検討,アデノウイルスベクターによるin vivo抗腫瘍効果の検討,改良PSAプロモーターを用いた癌特異的発現ベクターの構築に使用する予定である.ただし,23年度中に達成できなかったドミナントネガティブやデコイの作製費,siRNA作製の業者委託費に使用する予定である. また,担癌モデルの作成がなかなかうまくいかない場合はSCIDマウスの購入費におおむね当てられる予定となる.さらには,24年度中に目的のアデノウイルスベクターの作製に取り掛かった場合,かなりの研究諸経費が費やされる可能性がある.
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