研究課題/領域番号 |
23592328
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小中 弘之 金沢大学, 附属病院, 講師 (40334768)
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研究分担者 |
京 哲 金沢大学, 医学系, 講師 (50272969)
北川 育秀 金沢大学, 附属病院, 助教 (00452102)
角野 佳史 金沢大学, 附属病院, 助教 (10397218)
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キーワード | 去勢抵抗性前立腺癌 / 核内受容体 / NF-kB / クロストーク / AR / GR / ER / 転写活性 |
研究概要 |
去勢抵抗性前立腺癌に対する新規治療法の確立には,再燃メカニズムの解明は必要不可欠である. 本研究は,核内受容体スーパーファミリーに属する,アンドロゲン受容体(AR),グルココルチコイド受容体(GR),エストロゲン受容体(ER)の転写系と,転写因子NF-kBのシグナル伝達系のクロストークという新たな観点から前立腺癌再燃メカニズムを解明すると共に,そのクロストークを標的とした各種シグナル伝達阻害技術を駆使して,去勢抵抗性前立腺癌に対する包括的治療戦略を構築することを目的とした. また,各核内受容体間における転写系シグナル伝達ネットワークの存在を明らかにし,去勢抵抗性前立腺癌におけるAR,GR,ER間クロストークの基礎的及び臨床的意義についても検討を加えた. 従来から基礎研究から臨床試験までに渡って去勢抵抗性前立腺癌に対する各種治療戦略が精力的に検討されてきたにもかかわらず,必ずしも大きなブレークスルーがなかったという情勢においても,この研究は,去勢抵抗性前立腺癌に対する新たな治療法の開発に向けたプロローグとして極めて意義深いものであった。 平成24年度は,前立腺癌における核内受容体の発現プロファイル,発現ベクターの構築,核内受容体とNF-kBのクロストーク,NF-kBの活性化抑制による殺細胞効果とし,主としてin vitroでの実験を推進した.これ以降の実験のSCIDマウスを用いた担癌モデルの作成,NF-kB阻害薬による抗腫瘍効果,アデノウイルスベクターによる抗腫瘍効果とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NF-kB活性阻害によるin vitro殺細胞効果の検討に必要なドミナントネガティブ,デコイ,siRNA,プロテアソーム阻害薬の作製が難航しているため,進捗状況が若干遅れている.しかしながら,核内受容体の発現プロファイルと発現ベクターの構築に関する進捗状況は良好で,期待された成果が出始めている.また,核内受容体とNF-kBのクロストークに関する検討はおおむね完了した.
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今後の研究の推進方策 |
25年度は,これまでの計画の遅延を取り戻すべく,核内受容体とNF-kBのクロストークに関する検討とNF-kB活性阻害によるin vitro殺細胞効果の検討に重点を置いて実験の遂行に全力を上げると共に,24年度以降の計画に予定されているSCIDマウスを用いた担癌モデル(LNCaP細胞をマトリジェルと共にSCIDマウスの背部皮下に移植し,皮下腫瘍の形成を確認後,除睾術を施行して腫瘍が再形成されたin vivoモデル)の作成に引き続き着手する予定である.同モデルの確立は,今後のNF-kB阻害薬による抗腫瘍効果やアデノウイルスベクターによる抗腫瘍効果を検討するin vivo実験の成否のカギを握る極めて重要な推進課題である.さらには,アデノウイルス発現ベクターの作製を完了させる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の研究経費ついては,本年度から引き続いて,SCIDマウスを用いた担癌モデルの作成,NF-kB阻害薬によるin vivo抗腫瘍効果の検討,アデノウイルスベクターによるin vivo抗腫瘍効果の検討,改良PSAプロモーターを用いた癌特異的発現ベクターの構築に使用する予定である.ただし,24年度中に達成できずに繰越額が発生したドミナントネガティブやデコイに対する作製費,siRNA作製の業者委託費を次年度に使用する予定である. また,担癌モデルの作成がなかなかうまくいかない場合はSCIDマウスの購入費におおむね当てられる予定となる.さらには,アデノウイルスベクターの作製がうまくいかずその作製に試行錯誤するような事態に陥れば,作製費用に使用する予定である。
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