研究課題/領域番号 |
23592330
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
|
研究分担者 |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
及川 剛宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00361345)
末富 崇弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10574650)
|
キーワード | TXNIP / BBN / EMT / E cadherin / βarrestin2 |
研究概要 |
“CXCR4-βarrestin2-ERK経路を利用した尿路上皮癌に対する早期診断治療法の開発”という課題に対し、まずβarrestin2ならびにそのco factorとされるTXNIPの膀胱癌発癌における機能解析を計画した。予備実験としてlipofectamineでのtransfectionによるTXNIP強制発現膀胱癌細胞株の樹立を試みたがtransfectionを得られなかった。これに対しては共同研究施設である京都大学よりレンチベクターを用いたtransfection技術を習得し、今後再度実験予定である。別の予備実験として、以前、京都大学より供与をうけたTXNIP knock out mouseについて代表的な上皮間葉転換(EMT)関連マーカーであるE cadherinの発現を免疫染色で検討したところTXNIP knockout mouseではwild typeと比較して膀胱尿路上皮、膣上皮、直腸上皮において発現が低下しているという結果を得た。さらに追加実験としてwestern blotを行い、やはりタンパクレベルにおいてもTXNIP knockout mouseで発現低下を確認した。以上より、これまでの実験結果から我々は、尿路上皮癌においてTXNIPならびにβarrestin2がEMTに関連しているのではないかという新たな仮説を得た。尿路上皮癌におけるTXNIP, βarrestin2のEMT制御機構に関する報告は国内外を通じて存在せず、今後独創性の高い研究結果が得られると予想される。また、EMT制御機構を検討するうえで、従来から報告のあるTGFβ-smad経路とは別の経路によるEMT制御の解明の可能性につながり、ほかの癌種においても応用可能であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TXNIP transfectionの実験系が安定しないためin vitroの実験は遅れているが、TXNIP knock out mouseを用いたin vivoの系ではE cadherinを中心としたEMT関連因子の発現変化をIHCならびにWBにて確認でき、おおむね順調に進んでいるため、全体的には順調に進んでいると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
1. In vivoにおけるβ arrestin2の発現検討:TXNIP knock out mouseにおけるβarrestin2発現をIHC, WB, RTPCRを用いて検討する。2. TXNIP knock in,実験系の確立ならびにそれらの細胞を用いた実験:レンチウイルスベクターを用いてTXNIPを膀胱癌細胞株に強制発現させ、E cadherinなどのEMT関連マーカーの発現変化についてmRNA, タンパクレベルにおいて検討する。また、それらの細胞を用いてInvasion assayを行い、in vitroにおいてTXNIPの発現変化が細胞浸潤能に影響を及ぼすかどうかについて検討する。3. βarrestin2 knock in, knock down実験系:βarrestin2についても2と同様の実験を行う。4. TXNIP knock out mouseを用いたBBN発癌実験:BBN自然飲水による発癌実験を行い、浸潤性膀胱癌の発生頻度、時期についてwild typeと比較検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当しない
|