研究課題/領域番号 |
23592336
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
井川 掌 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40295069)
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研究分担者 |
酒井 英樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40235122)
大仁田 亨 長崎大学, 大学病院, 講師 (50452850)
竹原 浩介 長崎大学, 大学病院, 助教 (40580345)
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キーワード | 前立腺癌 / ミッドカイン / LNCaP細胞 / 自然炎症 |
研究概要 |
「研究の目的」 本研究の目的は前立腺癌のアンドロゲン非依存性増殖およびその進展に関わる因子の候補としてMK(ミッドカイン)の役割を解析し、最終的には臨床で最も問題となる去勢抵抗性前立腺癌の診断・治療に結びつくような知見を得ることにある。平成25年度はこれまでに得られた結果を確認するとともに、これをさらに発展させることに重点を置いて研究を進めた。 「研究の成果」①LNCaP細胞に対する各種リガンド刺激時におけるMK発現変化に関する実験:前年度までの結果に基づき、その再現性を確認するためDHTおよびEGF添加による発現変化を検討した。DHT10nMによりコントロールに比較して軽度の発現増加が認められたが、その程度はやはりわずかであり最大でもコントロールの1.5倍以下であった。これに加えてリガンド用量および時間依存性に関しての検討を行ったが、DHT20nM, 50nMへの用量増加によってもその発現変化、特に発現の増加は明らかでなかった。また、各種曝露時間の設定においてもその時間依存性は明瞭なものでなかった。一方EGFに関してもやはりDHTと同様の結果であった。すなわちEGF刺激10分後の早い時間帯での発現上昇傾向が認められたが、これもその程度は1.2-1.8倍程度であり、やはりMK発現との強い関連性は指摘できなかった。また、今回は酸化ストレス刺激としてH2O2添加によるMKの発現変化を同様の手法を用いて解析した。その結果、MK発現の軽度上昇が2-3時間のH2O2曝露により観察されたがその程度はDHT, EGFとほぼ同様であり、特徴的な変化は検出できなかった。H2O2刺激による細胞形態の変化がある程度明瞭に観察されるにもかかわらず、これに対するMKの発現変化は軽微であったことからも前立腺癌細胞の種々の刺激(増殖・ストレス)下においてMKの役割は存在するものの軽微であり、前立腺癌のアンドロゲン非依存性増殖との関連については他の機序の役割と合わせて検討する必要があると考えられた。
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