研究課題/領域番号 |
23592337
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大庭 康司郎 長崎大学, 大学病院, 助教 (20593825)
|
研究分担者 |
宮田 康好 長崎大学, 大学病院, 講師 (60380888)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | アノイキス |
研究概要 |
(細胞株の選定と培養条件の確立)本研究における細胞培養で、まず必要不可欠な条件設定として基礎培地の共通化が挙げられる。つまり、酸素濃度や培地のpHやグルコース濃度、さらにはアミノ酸濃度を変化させてアノイキスの誘導を比較検討する場合、cell lineによって基礎培地が異なることは、結果の解釈に支障を及ぼす可能性があるためである。そこで、過去の文献から、まずMcCoy-5Aによる培養を各種の腎癌のcell linesで行い、その最も汎用されている基礎培地との間で増殖曲線を比較したところ、ACHNにおいてその増殖が大きくかい離することがわかった。そこで、DMEMに変えて同様な実験を行ったところ、ACHN、Caki-1、Caki-2において基礎培地と同様の増殖曲線となることがわかった。(アノイキス誘導)アノイキスの誘導法を各種検討したが、poly-HEMAを用いたdish との接着阻害が最も安定した結果が得られ、ACHNについてはほぼ信用に足る再現性が得られている。Cell-cell contactについてはある種のインテグリン阻害剤を用いた方法を現在検討中である。(動物実験の手続き) 「研究の目的」および「研究実施計画」に則った動物実験の申請を行った。長崎大学の規定に沿った審査・修正を行った後にその申請は受理された。そこで、研究協力者が実験に参加するための講習を受け、実験参加の許可が長崎大学より得られたのを待って動物の購入・飼育を開始する手続きを始めた。なお、長崎大学の動物実験施設の大規模な建て替えに伴い、当初の予定より進行が遅れているが、その間に行った他の実験で用いたマウスによる予備実験によりアノイキス関連分子の一部(galectinやp600)などの実験条件設定は終了している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 動物実験の手続きに予定外(動物実験施設の建て替え工事)の時間を要したが、その間に行うべき予備実験は終えている。細胞を用いた研究では、他の実験結果から、予定よりも広範囲な研究が展開できている。臨床検体に関する研究は予定通りに進行できている。 以上から、「おおむね順調に進展している」と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 現在、若干の遅れを生じている動物実験関連の実験は細胞培養実験と並行して行うことで、予定していたGFP発現腎癌cell lienのマウスへの移植は予定時期に行える目途が立っている。また、各種の血管新生阻害剤については、研究分担者が他の研究課題で行った結果の一部を参考に実験に使用できるため、その意味でも予定通りの遂行は可能と判断している。臨床検体や細胞培養関連の研究は当初の予定通りで遂行すれば問題ないと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
(次年度の研究費の使用計画) 前述のごとく、血管新生阻害剤に関する実験が当初の予定よりも進展しているため、予定よりも広範囲な血管新生阻害剤での検討を考慮している。また、それに伴い、予定よりも使用するマウスの匹数を増やすことも考えている。その結果として、臨床検体で検討するアノイキス誘導関連因子の増加、それに伴う一次抗体の費用の増加も予想される。しかし、予備実験に予定していた費用が不要になるため、全体的には当初の予定していた研究費の使用を計画している。
|