研究課題/領域番号 |
23592338
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
和田 孝浩 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (20284755)
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研究分担者 |
今村 隆寿 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (20176499)
河野 吉昭 熊本大学, その他の研究科, 助教 (30593793)
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キーワード | 前立腺癌 / 去勢不応答 / プロテアーゼ / 細胞膜 |
研究概要 |
去勢不応型前立腺癌の新規治療法を開発するために、癌が産生するプロテアーゼに注目し、本型に特異的なプロテアーゼを探索した。まず、95種類のAcetyl-dipeptide-MCA基質を作製し、去勢感受性型前立腺由来株LNCapと不応型株PC-3とDU145の培養上清中の分解活性を調べた。すると、ある1種類の基質に対する活性が不応型2種で検出され、感受型では認められなかった。DU145より活性が強かったPC-3を洗浄した浮遊液に同基質を加えると培養液よりはるかに強い活性が認められたことから、このプロテアーゼは癌細胞膜に存在することが示唆された。そこで、この基質のアセチル基をビオチンに、MCAをクロロメチルケトンに置換したビオチン標識プロテアーゼ結合型インヒビターを作製した。このインヒビターをPC-3浮遊液に添加するとプロテアーゼ活性は消失したことから、このインヒビターはプロテアーゼに結合すると推定された。プロテアーゼの膜局在を確認するために、PC-3浮遊液にこのインヒビターを加えたあと洗浄し、抗ビオチンマウスIgGを添加して洗浄後蛍光標識抗マウスIgGロバ抗体で処理すると、細胞膜に蛍光が検出されたので、プロテアーゼの膜局在が明らかになり、去勢不応型前立腺癌の治療標的になりうる可能性が示された。次の段階として、プロテアーゼを精製・同定するために、インヒビター処理したPC-3の細胞膜を採取し、膜を可溶化してプロテアーゼを膜から遊離させ、アビジンカラムに吸着したあとmonomericアビジンで溶出させた。この溶液を二次元電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写後HRP標識アビジンでブロッティングを行った。7-8個のスポットが認められたので、これらをプロテオミクス解析してプロテアーゼの同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中にプロテアーゼを同定する予定であったが、培養上清に去勢不応型前立腺特異的プロテアーゼの活性が少なく崩壊細胞に由来すると推定された。そこで、癌細胞から細胞膜を採取し、可溶化してプロテアーゼの精製を試みたが、アビジンで検出されるスポットに非特異的なものが多く未だ同定に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
ビオチン標識プロテアーゼ結合型インヒビター標識したプロテアーゼをビオチン抗体で検出し精製する。アビジンを使って検出するより非特異的結合が少なくプロテアーゼの同定が容易になる可能性がある。プロテアーゼの抗体を作製して去勢不応型前立腺癌での発現と感受性型での非発現を確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
① アビジンカラムなどの精製用器具および試薬、② プロテアーゼ検出用のHRP標識抗ビオチン抗体などの試薬、③ 癌細胞培養用の培養液と器具、牛血清、④ 抗体作製の家兎、免疫試薬、飼育費、⑤ 免疫染色用キット、⑥ 学会発表の旅費、論文掲載費等
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