研究課題/領域番号 |
23592342
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
北村 寛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00404674)
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研究分担者 |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20301400)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20295356)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | がんワクチン / 再発予防 / 腫瘍抗原 |
研究概要 |
1) 基礎実験樹状細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞に効率的に取り込ませ、抗原提示させることによる免疫増強効果を誘導しうる新規がんワクチンとして、oligomannose liposome(OML)に着目した。OMLはマンノース受容体を介して抗原提示細胞に取り込まれ、OML包埋ペプチドワクチンは高い細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導効果を示す。そこでsurvivin 2Bペプチドを封入したOMLを合成し、基礎実験を行った。HLA-A*2402/Kb Tgマウスにsurvivin 2B遺伝子導入腫瘍細胞を移植し、OML-survivin 2Bワクチンを接種したところ、survivin 2Bペプチド単独群と比較して、有意に腫瘍増殖抑制効果を認めた。しかし、本ワクチンを合成する企業の移転に伴い、ワクチンの供給が中止され、実験計画の変更を余儀なくされた。そこで、survivinのMHC class I拘束性ペプチドとMHC class II拘束性ペプチドを併せ持つlong peptideを開発し、マウスでの免疫反応誘導効果を検証する実験を開始した。平成24年度はこのlong peptideによるエピトープ特異的免疫反応の検証と、腫瘍予防効果を検討する予定である。2) 臨床試験再発性の筋層非浸潤性膀胱癌で、BCGなどの膀胱内注入療法による再発効果が認められなかった患者に対する、survivin 2Bペプチドワクチン再発予防療法の臨床第I/II相試験を開始した。現在までに4名の患者が登録され、うち3名で免疫反応が解析された。3例中1例でsurvivin特異的CTLが誘導され、再発なく経過中である。平成24年度も症例登録を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1) 基礎実験OMLが提供中止になったことにより、治療計画の変更を余儀なくされ、新規にlong peptideを用いた基礎実験を始めることになった。このため、現時点ではsurvivin long peptideによる免疫反応の誘導や腫瘍抑制効果に関する結果が出ておらず、当初の計画より遅れていることは否めない。しかしlong peptideは安定供給可能であり、平成24年度中には実験系を確立し、至適プロトコールの決定を見込んでいる。2) 臨床試験既に症例登録および治療を開始しており、予定通りの達成度と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Survivin long peptideの基礎実験を進める。既存のMHC class I拘束性survivin short peptideを凌ぐ免疫学的/抗腫瘍効果が得られた場合は問題ないが、予想を下回る効果の場合は、CpGやPolyI:CなどのToll like receptorリガンドによるアジュバントの併用を考慮する。臨床試験は引き続き症例登録を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
基礎研究:ワクチン合成費用、免疫学的モニタリングに関わる試薬費、マウス費用臨床試験:ワクチン購入費用
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