ATBF1は404kDaの癌抑制因子である。我々はこの巨大タンパクの全体像を把握するため、NからC末端まで、7カ所に特異抗体を作製した。新潟労災病院泌尿器科の膀胱癌117症例(全死亡21例、膀胱癌特異的死亡6例)で、7種の抗ATBF1抗体を使った病理組織化学的診断および患者の10年間予後を検討した。その結果、7種類すべての抗ATBF1抗体で、核染色性を示さない群と、いずれかの抗ATBF1抗体で核染色性を示した群を比較すると、後者の全生存率が有意に高いことが示された。以上の結果から、ATBF1は膀胱癌の全生存率判定に有用なバイオマーカとして期待できる。
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