研究課題/領域番号 |
23592347
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
原 勲 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10263378)
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研究分担者 |
井箟 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60303640)
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キーワード | 泌尿器悪性腫瘍 / 免疫寛容 |
研究概要 |
進行性尿路上皮癌の経尿道的膀胱腫瘍切除術時のパラフィンブロック標本を用いてIDOの発現を免疫組織学的手法により調べた。IDOに対する抗体は研究分担者である産婦人科の井箟教授を通じて国立長寿医療センターの滝川修博士より供与していただいた。40検体に関し免疫組織学的検討を行ったが、有意な発現は残念ながら認められなかった。さらにBCG療法を施行した筋層非浸潤性膀胱腫瘍患者の経尿道的膀胱腫瘍切除術時のパラフィンブロック標本30例を用いてIDOの発現を同様に調べたが、筋層浸潤性膀胱癌検体同様明らかな発現は認められなかった。このため研究の対象を腎細胞癌に変更してその発現を免疫組織学的に検討した。この結果、腎細胞癌そのものにおいては発現は認められなかったが、腫瘍内の新生血管において発現の強弱を認めた。過去に腎細胞癌に対しIDOの発現を調べた論文が1つだけ認められ、腫瘍血管においてIDO陽性のものと陰性のものが認められ予後との相関が認められたとの報告であった。同様のことが認められるか否かにつき症例を追加して検討を行った。腫瘍血管におけるIDOの発言と臨床病理学的因子および予後との関連について検討したが、有意な相関関係は認められなかった。またVEGF等血管新生因子との発言の相関に関しても現在検討中である。今後は腺癌である前立腺癌に関しても同様な検討を加える予定である。今までに前立腺癌に関してIDOの発現を検討した報告はないため今後の成果が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は尿路上皮癌での発現に関して検討したが、有意な発現を見いだすことは出来なかった。癌腫を腎細胞癌に変更して種々の検討を加えた。腫瘍細胞での発現を認められなかったが腫瘍新生血管において発現を見いだすことができた。症例数を増やして免疫組織染色を行い臨床病理学的因子や他の血管新生因子の発現の関連について検討を行うも現段階では有意な関連を見いだせていない。
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今後の研究の推進方策 |
腎細胞癌での腫瘍新生血管における発現については確認することができたので腫瘍血管増生因子との関連について検討を加える予定である。また腎細胞癌のみならず前立腺癌においても同様の手法を用いて免疫組織染色を行い臨床病理学的因子との関連について検討を加える予定である。
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