研究課題
進行性尿路上皮癌の経尿道的膀胱腫瘍切除時のパラフィンブロック標本を用いてIDOの発現を免疫組織学的手法により調べた。40検体に関し、免疫組織学的検討を行ったが、有意な発現は残念ながら認められなかった。さらにBCG療法を施行した筋層非浸潤性膀胱腫瘍患者の経尿道的膀胱腫瘍切除時のパラフィンブロック30例を用いてIDOの発現を同様に調べたが、筋層浸潤性膀胱癌検体と同様明らかな発現は認められなかった。このため研究の対象を腎細胞癌に変更してその発現を免疫組織学的に検討した。過去に腎細胞癌に関してIDOの発現を調べた論文では腫瘍内血管においてIDOの発現の強弱を認め、IDO陽性の腫瘍血管を含む患者では予後不良であったとの報告があった。我々も腫瘍内血管のIDOの強弱と病理組織学的因子あるいは予後との関連について検討したが有意な相関は認められなかった。さらに免疫組織学的検討だけでは発現の強弱に関する判定が難しい場合があったため、定量的PCRの手法を用いてIDOの発現を検討した。腎細胞癌患者59例での新鮮凍結標本を用いてRNAの抽出を行い、Gene expression assayを用いて定量的にIDOの発現を測定した。IDOは種々の程度での発現が認められたが、免疫組織学的検討と同様、IDOの強弱と病理組織学的因子あるいは予後との関連について有意な相関は認められなかった。一方、共同研究者の井箟らはIDOのcDNAを組み込んだ発現ベクターを用いて卵巣癌腫瘍細胞株に強制発現させた株を樹立した。このIDO強制発現株は腹膜播種モデルにおいて有意に腹水の増大を示し、腹水中のCD8 T cellやNK cellの減少と相関していることを見出した (Cancer Sci. 2014 Aug;105(8):966-73)。
すべて 2014
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Cancer Sci.
巻: 105 ページ: 966-73
10.1111/cas.12445