研究課題/領域番号 |
23592350
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤村 務 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70245778)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / 悪性前立腺がん / ハプトグロビン / 糖鎖修飾ペプチド / がん特異的抗体 / シアル酸化 / フコシル化 |
研究概要 |
「研究の目的」私は、悪性前立腺がん患者由来の血清中からがん特異的な糖鎖修飾を受けたハプトグロビンを見出した。糖鎖解析によりハプトグロビンβ 鎖のアミノ酸残基Asn207、211に多岐化、シアル酸化、フコシル化などがん化による特異的な糖鎖の増加が認められた。そこで、がん患者および健常人血清由来ハプトグロビンから糖鎖修飾ペプチドを精製し(ハプトグロビンβ 鎖203から215残基)、それぞれを抗原に抗体を作製する。「研究実施計画」1.悪性前立腺がん患者、健常人由来の血清からハプトグロビンβ鎖を単離した。単離したハプトグロビンβ鎖をトリプシン消化後、Sepharose CL4Bを用いGlycopeptide-1,2,3を分離精製した。抗体を作製するのに必要なGlycopeptideの量を得るのに時間を要した。2.Glycopeptide抗体の作製-精製した抗原 Glycopeptideをキャリア担体に結合させた。ウサギへの免疫:キャリア担体に結合させたペプチド50ug/100ulをFreund’s complete adjuvant 100ulと混ぜてエマルジョン化しウサギ背皮下数か所に注入した。→ 追加免疫は同量の抗原とincomplete Freund’s adjuvantを用いて2週間(3~4回)ごとに行った。→ 最後の免疫から10日後に耳静脈より採決し血清を分離した。→ ELISAあるいはウエスタンブロットで抗体の確認。→ 一部の血清を硫安分画後、プロテインGカラムにてIgGを精製した。→ ウエスタンブロット等で抗体の特異性を評価中。マウスへの免疫:ウサギの時と同じ抗原をマウスの腹腔内に注射した。→ 追加免疫は同量の抗原と incomplete Freund’s adjuvantを用いて2週間(3~4回)ごとに行った。→ 試験採血、ELISAにて抗体価を評価中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
悪性前立腺がん患者、健常人由来の血清からハプトグロビンβ鎖を精製し、目的の抗原 Glycopeptideを精製できた。抗原としての必要量を確保するのに時間を要したが、ウサギおよびマウスに抗原としても用いることができた。免疫後の採血による抗体の評価も順調に行えており、糖鎖修飾ペプチドの抗体作製はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)モノクロナール抗体の作製:抗体化の最も高いマウスから脾臓を摘出しハイブリドーマ後、細胞のクローニングを行う。→ 特異抗体産生クローンを増殖させた後8週齢のヌードマウスに腹腔内注射し、腹水を作る。腹水からIgG精製を行い、モノクロナール抗体とする。(2)スクリーニング:悪性性前立腺がん患者、健常人、良性前立腺疾患由来の血清を用いてウエスタンブロットを行い抗体の評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウサギおよびマウスに免疫したポリクロナール抗体の作製、抗体の評価まで行えたが、マウスモノクロナール抗体の作製までには至らなかった(抗原の精製に予定よりも時間を要した)。マウスモノクロナール抗体の作製および各種抗体評価の為のスクリーニングを行うために23年度未使用額(32万円)+24年度請求額(140万円)を使用する。
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