研究課題
[研究の目的]悪性前立腺がん患者由来の血清中からがん特異的な糖鎖修飾を受けたハプトグロビンを見出した。糖鎖解析によりハプトグロビンβ 鎖に多岐化、シアル酸化、フコシル化などがん化による特異的な糖鎖の増加(異常)が認められた。そこで、がん患者および健常人血清由来ハプトグロビンから糖鎖修飾ペプチドを精製し、それぞれを抗原に抗体を作製する。がん特異的な糖鎖修飾抗体の特異性を検討し、PSA値を補完する前立腺がんの早期診断法を目指した。[研究実施計画]糖鎖修飾ペプチド抗体の評価:「ウサギおよびマウスで作製した抗体の評価」ウエスタンブロット法で評価した結果、ウサギおよびマウスで作製した抗体は悪性前立腺がん患者と健常人を優位に区別することが可能であった。また、良性疾患患者と悪性前立腺がん患者の間でも区別することが可能であった。ウサギで作製した抗体は感度が高く、マウスで作成した抗体は特異性が高かった。結果的にマウスで作製した抗体をキャプチャー抗体として、ウサギで作製した抗体を検出用抗体に用いてサンドイッチELISA法の構築を行った。[結論]悪性前立腺がん患者、健常人由来の血清からハプトグロビンβ鎖を精製し、目的の抗原糖鎖修飾ペプチドを精製できた。これらを抗原に作製した抗体は悪性前立腺がん患者と健常人を優位に区別することが可能であった。また、良性疾患患者と悪性前立腺がん患者の間でも区別することも可能であり、抗体の特異性が確認できた。血清中の糖鎖ハプトグロビンを数ng/mlで検出可能であり、十分な感度も得られた。従来の前立腺がんの診断マーカーとして用いられているPSA値の欠点である①グレーゾーン(4-10ng/ml)値を有するがん患者が存在。②PSA値が10ng/ml以上である良性疾患患者が存在。今回作製したELISA法(プロトタイプ)はこれらの欠点を補完できる可能性を示した。更に検体数を増やし早期診断法への精度を高めたい。
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