研究課題/領域番号 |
23592355
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
佐藤 全伯 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00296675)
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キーワード | ユビキチン化 / ヒストンアセチル化 / SAHA / bortezomib / ritonavir / 前立腺癌 |
研究概要 |
本研究は、前立腺癌に対してユビキチン化蛋白蓄積を介した新規治療法を開発することを目的としている。昨年度はSAHAとbortezomibの併用療法について検討を行い、併用療法がユビキチン化蛋白を蓄積し、in vitro、in vivoにおいて前立腺癌に有効であることを示した。今年度は、更なるメカニズム解明のため、小胞体ストレスの誘導についてより詳しくERp44, Ero1Lなどの発現の変化の検討を行い、またcolony formation assayを行ってコロニー形成阻害能についても検討を加えた。更に細胞周期に関連してp21の発現増加に加え、cyclin D1, cyclin-dependent kinase 4の発現減少も示した。また、新たに、より効率的なユビキチン化蛋白蓄積を目指して、HIV protease inhibitorであるritonavirによる小胞体ストレス誘導下におけるbortezomibの併用効果について検討を行った。両者の併用はPC-3, DU145, LNCaPにおいて、細胞増殖を効果的に抑制し、その効果は相乗的であることがisobologram解析で明らかとなった。またannexin-V assay, アポトーシス関連蛋白の検討から、併用療法はアポトーシスを誘導することが示された。更に、細胞周期解析では、併用療法により劇的なsub-G1 fractionの増加が確認された。Western blot法による検討では、併用療法は相乗的に小胞体ストレスを誘導し、ユビキチン化蛋白を蓄積することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SAHAとbortezomibの併用療法につき併用効果、そのメカニズムにつき更に詳しく解明することが出来た。また、ritonavirとbortezomibの併用についてもユビキチン化蛋白を蓄積することが示された。これらは、ほぼ当初の計画通り進行した結果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
Ritonavirとbortezomibによるユビキチン化蛋白蓄積が示されたため、in vivoにおける効果、副作用の検討を推進する。また小胞体ストレス誘導、ヒストンアセチル化、SUMO化といった関連する現象についても解析をすすめ、より詳細なメカニズムの究明に努める。更に、前年度までに示されたSAHAとbortezomibの併用効果を発展させるべく、SAHAより低濃度で作用するpanobinostat, romidepsinといったヒストン脱アセチル化酵素阻害薬とbortezomibの併用についても効果を検討して行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
必要不可欠であるwestern blot、flow cytometry、および細胞培養の関連消耗品の購入に加え、更に詳細なメカニズム検討のための小胞体ストレスやSUMO化関連マーカーの抗体購入、in vivoでの研究推進のための試薬およびヌードマウス購入に使用する予定である。
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