研究課題/領域番号 |
23592360
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
青木 芳隆 福井大学, 医学部, 助教 (30273006)
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研究分担者 |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
日下 幸則 福井大学, 医学部, 教授 (70135680)
松田 陽介 福井大学, 医学部, 助教 (90345687)
土山 克樹 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (90464073)
松本 智恵子 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (80377043)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 夜間頻尿 / 高血圧 / 肥満 / 糖尿病 / 脂質異常 |
研究概要 |
福井県厚生農業協同組合連合会が行う健康診査は、毎年3万人以上が受診する。この健診においては、一般的な問診(既往歴、現在治療中の疾患、夜間頻尿の有無を含む)、身体所見(身長、体重、腹囲を含む)、血液生化学検査、心電図検査、胸部レントゲン検査などが行われる。この健診受診者の健診データを元に、多変量解析を含む統計学的手法を駆使し、夜間頻尿とMetSおよびその構成要素との関連を経時的変化を含め解析した。1)平成15年から19年の5回にわたる健診受診者全員のデータベースをまとめた。2)それらの中で、平成15年と19年の2点間における、夜間頻尿およびメタボリック症候群構成要素の、それぞれの発生または悪化、および改善との関連性を、単変量解析および多変量解析にて求めた。3)その結果、夜間頻尿の出現、悪化、改善は、拡張期高血圧や高血糖の変化とともに変化していたことがわかった。よって、夜間頻尿の変化は、このような病態の変化を表す、自覚可能なマーカーになりうると思われた。4)現時点での研究結果を国内学会にて報告し(第18回日本排尿機能学会学術集会)、学会賞候補にノミネートされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健診受診者を対象に縦断的解析を行い、夜間頻尿とメタボリック症候群およびその構成要素との関連を調べている。とくにその発症のマーカーになりうるかどうかの点に注目している。 平成23年度においては、平成15年から19年の4年間における計5回の健診受診者のデータベースを作成し、その中から、平成15年と19年の両年を受診した13,536名の解析を行った結果、現在までにいくつかの関連性を見出すことができた。その1つは、夜間頻尿の変化と拡張期高血圧の変化との相関である。夜間頻尿が新たに出現もしくは悪化したものは、拡張期高血圧の出現している危険度が高く、また、夜間頻尿が改善したものは、拡張期高血圧も改善する割合が高いことを見出した。また、高血糖の改善は夜間頻尿の改善と相関していたことである。これらをあわせて考えると、夜間頻尿の出現、悪化、改善は、拡張期高血圧や高血糖の変化とともに変化し、夜間頻尿の変化がこのような病態の変化を表す、自覚可能なマーカーになりうると思われた。この結果は、これまでの欧米の報告にはない、新たな知見である。すでに国内の学会報告を行い、平成24年5月には米国泌尿器科学会に報告する予定である。 平成24年度には、さらに長期間にわたるデータベースの作成を行い、解析を進めていく予定である。また、短期間での変化も解析する予定である。よって、研究はおおむね計画通りに進んでいるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で得られたデータベースは4年間のものであり、今後平成20年以後のデータを加えていく事でより長期的な縦断解析を行うことが出来る。また、当初は、それぞれの病態の進行に伴う変化についての解析のみを考えていたが、実際には症状や病態の改善も起こり、またその改善を知る手がかりにも、夜間頻尿はなりうることもわかったため、今後は、メタボおよびメタボ構成因子の発症のみならず、改善のマーカーとして夜間頻尿の意義についても検討していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)平成20年度以後のデータを抽出する作業、あるいはデータベース化する作業を行うにあたっての人件費を予定している。2)また、膨大なデータを正確かつ迅速に処理するためにデータベース作成に必要なパーソナルコンピュータの購入を予定している。また、現在使用中の統計ソフト(SPSS)のアップグレード費用も必要である。3)昨年度の解析で得られた成果は、本年5月に開催される米国泌尿器科学会に採択され、その発表における、渡航費用に使用する。
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