研究課題
冷えストレスにより下部尿路症状を生じる主要臓器である膀胱の粘膜に注目し、自律神経系受容体のmRNAの解析結果と臨床症状・尿流動態検査結果との相関を検討した。信州大学医学部医倫理委員会承認の下、前立腺肥大症に対して前立腺摘出を施行した症例の膀胱粘膜の、交感神経系受容体(α1 a,b,d、β3)のmRNAを測定して、術前の尿流動態検査結果、下部尿路症状との相関性を検討した。前立腺肥大症に対して、経尿道的前立腺切除術を受けた20名の患者を対象とした。初発尿意が200ml以下もしくは最大尿意が300ml以下(膀胱容量が少ない群)の群と初発尿意が201ml以上かつ最大尿意が300ml以上(膀胱容量が大きい群)の群とでは国際前立腺症状スコア(IPSS)、過活動膀胱症状スコア(OABSS)においては差を認めなかったが、前者が後者よりもアドレナリン受容体1dにおいて、mRNAの有意な増加を認め、免疫染色にても同様の結果を得た。また、別の32名の患者を対象とした研究では、尿流動態検査にて、尿路閉塞の強い(Schafer nomogramにて閉塞度V以上)症例において、アドレナリンβ3受容体の有意な発現の低下を認めた。本研究においては、膀胱容量については、アドレナリンα1d受容体が、また、膀胱出口部の閉塞にはアドレナリンβ3受容体が関連することが判明した。このことは、尿流動態検査結果をもとにそれぞれの受容体に特異性の高い薬剤を選択すると、よりよい臨床効果が得られることが期待できると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
当初,尿流動態検査(膀胱内圧検査)を施行する患者を対象として,メントールの皮膚への噴霧による切迫性尿意(どうにも我慢ができない感覚)が生じるかどうかや膀胱収縮が起こるかどうかについての検討を計画していたが,治療に結びつく検討を優先し,冷えストレスにより下部尿路症状を生じる主要臓器である膀胱の粘膜に注目し、自律神経系受容体のmRNAの解析結果と臨床症状・尿流動態検査結果との相関を検討した。その結果膀胱容量については、アドレナリンα1d受容体が、また、膀胱出口部の閉塞にはアドレナリンβ3受容体が関連することが示唆できた。
メントールの皮膚への塗布により膀胱収縮が起こるかどうかについて検討するとともに,その機序について関与する神経回路に焦点を当てて解明する。また,女性患者における冷えストレスによる下部尿路症状に着目し,閉経後の冷えストレスによる過活動膀胱の機序について膀胱粘膜のアドレナリン受容体,皮膚のTRIP8受容体の関与を含めて解明を加える。さらに,男女での違いを明らかにするために,膀胱出向部閉塞モデルを作成し,膀胱粘膜の自律神経系受容体のmRNAと尿流動態検査結果との相関について検討を加える。
該当なし
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