研究概要 |
ヒト前立腺におけるβ-アドレナリン受容体(特にβ3-アドレナリン受容体)の各サブタイプの発現とその薬理学的機能を解明し、前立腺肥大症などの下部尿路機能障害に対する新たな治療戦略となりうるか検討している。 手術検体から採取されたヒトの摘出前立腺を標本としてRT-PCR法によりβ-アドレナリン受容体の各サブタイプ(β1, β2, β3)のmRNAの発現について検討したところ、いずれのβ-アドレナリン受容体のサブタイプ(β1, β2, β3)も前立腺組織に発現していることが確認された。現在、正常前立腺組織と前立腺肥大症組織での各β-アドレナリン受容体の発現に変化がみられるかを定量的RT-PCR法で検討するべく、症例数を追加しながら保存検体を収集中である。 ヒト摘出前立腺の顕微鏡的正常部分のブロックからパラフィン切片を作成し、β-アドレナリン受容体の各サブタイプの発現ならびに局在を免疫組織化学染色法を用いて検討中である。ただし、抗体の特異性の問題が明らかになってきているため、その問題を解決すべく新規ポリクローナル抗体を作成し、その評価を行っている状況である。 β-アドレナリン受容体(特にβ3-アドレナリン受容体)への刺激が前立腺平滑筋を弛緩させるか確認するために、ヒト摘出前立腺標本を用いて薬理学的実験をin vitroで実施中である。正常前立腺においては、非選択的作動薬であるイソプロテレノールに対して濃度依存性に平滑筋切片は弛緩することがすでに確認できている。現在、β-アドレナリン受容体の各サブタイプに対する選択的作動薬による作用を確認しているところであり、研究を継続して実施中である。
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