研究課題/領域番号 |
23592368
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻村 晃 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40294053)
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研究分担者 |
宮川 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70362704)
高尾 徹也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30379177)
松岡 庸洋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10379183)
野村 大成 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, プロジェクトリーダー (90089871)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Super-SCIDマウス / ヒトBPHモデル |
研究概要 |
これまでに、我々は雄Super-SCIDマウスの皮下に経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術により得たヒト前立腺肥大症(BPH)組織を移植し、長期間生着させる実験系の構築を試みた。すでに1年以上経過した移植組織を検討し、腺構造を有した正常BPH組織に近い組織像を確認した。さらに、PSA、アンドロゲン受容体(AR)の免疫組織染色を行い、移植前の組織同様、1年以上経過した組織も腺管上皮にPSAやARが発現していることを確認し、移植組織は機能的な前立腺組織であると判断した。ただし、移植されたBPH組織は時間の経過とともに扁平上皮化が認められ、さらにやや管腔が小さくなる傾向が見受けられた。この変化については、経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術で得られたサンプル組織はすでにミンチ状に変性している可能性が高い点、さらに正常BPH組織がそのままの形で生着・維持されるには、マウス自身由来のテストステロン量では不足していることが推測された。そこで、恥骨後式前立腺摘除術で得られたBPH組織を8-10mm3の大きさに細切し、雄super-SCIDマウスの皮下に移植、同時にテストステロンペレット(5mg/90日)を皮下投与(90日ごとに継続投与)する形で、再度、実験系を構築した。移植前の組織と、移植後2ヵ月目、4ヵ月目、6ヵ月目のBPH組織に対して、再度、PSA、ARの免疫組織染色を行い、移植後のBPH組織は移植前とほぼ同様の管腔形成が認められ、腺管上皮にPSAやARが発現していることも確認し得た。また、懸念された扁平上皮化や管腔の狭小化は認められず、Super-SCIDマウス・ヒトBPHモデルが確立できたものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の目標は、5α還元酵素阻害剤とPDE5阻害剤の直接作用を観察するための、Super-SCIDマウス・ヒトBPHモデルの確立である。テストステロンペレット(5mg/90日)の皮下投与と同時に移植することで、組織学的にも、機能的にもBPHと考えられる移植組織が長期間移植後に得られたことより、Super-SCIDマウス・ヒトBPHモデルが確立できたものと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
実験モデルが確立できたので、次に5α還元酵素阻害剤(デュタステライド)とPDE5阻害剤(タダラフィル)を投与し、両薬剤のBPH組織への直接作用を組織学的に観察し、得られた結果を発表、論文化することとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
Super-SCIDマウス・ヒトBPHモデルにタダラフィルおよびデュタステライドを半年間投与これまでの報告からマウスに対する各薬剤の投与量をタダラフィル、デュタステライド1mg/kg/dayとし、それぞれを経口ゾンデにて連日投与する。投与開始1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、半年後にBPH組織を約2mm3程度採取し、組織学的検討を行う。組織学的検討は以下のごとく行う1) HE染色、2) PCNA(細胞増殖能)、3) TUNEL(アポトーシス)4) CD34(血管新生能)、5 )NOS/NO、6) COX-2、7) HIF-1、8) VEGF、9) Rhoキナーゼ、10) PSA
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