研究課題/領域番号 |
23592368
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻村 晃 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40294053)
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研究分担者 |
宮川 康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70362704)
高尾 徹也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30379177)
松岡 庸洋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10379183)
野村 大成 独立行政法人医薬基盤研究所, その他部局等, その他 (90089871)
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キーワード | 前立腺肥大症 / super-SCIDマウス / タダラフィル / デュタステライド |
研究概要 |
タダラフィル、デュタステライドが前立腺組織へ与える影響を、ヒト臓器・組織置換(super-SCID)マウスを用いたヒト前立腺肥大症xenograftモデルを用いて解析した。これまで、ヒト前立腺組織を移植し、1年間継代した組織の評価を行ってきたが、前立腺特異抗原(PSA)やアンドロゲン受容体(AR)を含めた免疫組織染色による解析で、1年間継代できた組織はオリジナル(移植前)のヒト前立腺肥大症組織とほぼ同様の性質を持つことから、モデルが確立できたものと判断した。 デュタステライドを与えたマウスとコントロールマウスにおいて、ヒト前立腺肥大症組織の比較を行ったところ、投与2ヶ月目からKi-67の陽性率がデュタステライド群で上皮、間質ともに低下していることが確認された。この傾向は投与6ヶ月目まで観察された。TUNEL染色により、アポトーシスを評価したが、アポトーシスにおいては、有意な所見は得られなかった。興味深いことに、投与2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月目にCOX-2、RhoAの発現がいずれもデュタステライド群で有意に低下していた。デュタステライドは投与早期から前立腺組織を縮小させる可能性が示唆されるとともに、排尿機能の改善には前立腺組織内のCOX-2、RhoA発現の低下による平滑筋弛緩が関与している可能性が考えられた。 一方、タダラフィルについては、タダラフィルを投与することで、投与2ヶ月目からKi-67の発現が上皮、間質ともに有意に減少させたが、同時にeNOSの発現も有意に増加させた。従って、タダラフィルの排尿機能の改善メカニズムには、eNOSの増加からCOX-2の発現を減少させているものと考えられた。NO signalingを通した前立腺組織に対する増殖抑制効果が推測される。 以上の知見は、これまで報告されておらず、両薬剤の新たな作用機序の解明に繋がるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでにデータの解析を終え、学会発表を行ってきた。再度、整理し、論文作成へ向かう段階である。
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ予定した研究を終え、論文発表に向けて準備する。
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次年度の研究費の使用計画 |
すでに国際学会を含め、学会発表を行ってきたが、今後は論文作成にむけて準備する。
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