研究課題/領域番号 |
23592373
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
相川 健 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80295419)
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キーワード | 前立腺 |
研究概要 |
平成24年度は前立腺からの求心性刺激を介した蓄尿機能への影響を検討した。まず12週齢オスラットの腹側前立腺にFastBlueを20µl注入し1週間後ホルマリンで還流固定しL1からS2の後根神経節を摘出し蛍光顕微鏡で色素の取り込みをカウントした。その結果前立腺からの神経を介した求心性刺激はほぼL6、S1に入力されていることが確認できた。 次に求心性刺激の評価としてL6、S1の後根神経節でのc-Fos発現をリアルタイムRT-PCR法、ウエスタンブロット法、免疫組織染色法でmRNAレベル、蛋白レベルで検討した。前立腺に10-9MアンジオテンシンII、コントロールとして生理食塩水を注入し比較するとmRNA、蛋白どちらのレベルでもアンジオテンシンII投与でコントロールの40%発現が増加していた。以上の結果から前立腺でのアンジオテンシンIIは求心性刺激を活性化する生理活性物質の一つと考えられた。 この求心性刺激の活性化が実際に蓄尿機能へ影響するのか確認するためウレタン麻酔下に膀胱頂部からポリエチレンチューブ(PE50)を挿入し、生食5ml/hrを注入しながら連続的膀胱内圧測定をおこなった。コントロールの排尿反射を3回記録後10-9MアンジオテンシンIIを前立腺被膜下に30G針を使い注入し20分経過後3回排尿反射を記録した。投与前後で最大膀胱収縮圧は変化なかったが、膀胱収縮間隔は注入後短縮し、コントロールの生理食塩水注入群の短縮と比べてもその程度は大きかった。以上の結果から前立腺のアンジオテンシンIIの求心性刺激の活性化は蓄尿機能の低下を引き起こすことが明らかとなった。さらに検証を進め蓄尿機能に対するアンジオテンシンIIの制御が治療として有効か明らかにすることは新しいメカニズムの治療法開発につながると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の年度ごとの予定がほぼ達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は前立腺アンジオテンシンIIのノルアドレナリン誘導による求心性刺激活性化以外にサイトカイン誘導による炎症反応、求心性刺激活性に関して検討する。慢性的な前立腺局所へのアンジオテンシンIIの投与後に摘出前立腺の組織、mRNA、蛋白レベルでNADPHオキシダーゼ、IL-6、TNF-αを評価し、酸化ストレスに関しては8-OHdGをELISA法で測定する。 また蓄尿機能に影響与えるかは代謝ケージでの排尿動態の記録と連続的亡く内圧測定にて評価する。 その後どのような薬剤で蓄尿機能の低下を抑制できるかアンジオテンシンIIタイプ1受容体遮断薬、NADPHオキシダーゼ阻害薬、α1遮断薬など投与しそれぞれの治療薬としての可能性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度検討を考えていたアンジオテンシンIIとシロドシンの前立腺への同時投与はできなかったため次年度に繰り越すこととした。
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