研究課題/領域番号 |
23592375
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
安井 孝周 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40326153)
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研究分担者 |
濱本 周造 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80551267)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70444966)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40264733)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30122047)
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キーワード | 尿路結石 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 一塩基多型 |
研究概要 |
尿路結石は、尿路結石になりやすい遺伝要因を持つヒトに、結石ができやすい環境があり、そこにきっかけが起こり形成されるという点に着目した。結石の初期形成時には、形成前の慢性の酸化ストレスが急激に亢進すると推察される。次の3つの観点から尿路結石の形成機序を解明し、診断法、予防法の開発につながる研究を行っている。 研究1. 尿路結石の初期形成時における酸化ストレス亢進機序の解明:腎尿細管培養細胞にシュウ酸カルシウム結晶とシュウ酸ナトリウムをそれぞれ添加し、経時的変化を観察した。ミトコンドリアを、TMRE染色色素(蛍光ミトコンドリア染色)を用いて染色し、酸化ストレスによる障害を検討した。ミトコンドリア膜透過孔の開口阻害剤(NIM811)を用いて、その機序を解明した。 研究2.尿路結石の形成前段階での慢性的な酸化ストレス発生機序の解明:ob/obマウスとwild typeマウスより、腎を摘出し、アディポサイトカイン(アディポネクチン、MCP-1、PAI-1等)の発現、酸化ストレス(SOD, MDA, 8-OHdG)の経日変化、尿中生化学物質の排泄量と結石形成への影響を詳細に検討した。さらに、ob/obマウスとwild typeで網羅的探索を行い、結石形成時には炎症関連遺伝子、マクロ関連遺伝子の発現変化が起こることを明らかにした。 研究3:ヒトゲノム遺伝子を用いた遺伝子診断法の開発:ゲノムワイド解析から尿路結石患者に特徴的であると同定したSNPsを解析した。それぞれのSNPのリスクアレル数と結石リスクが相関していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者の協力が十分に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究を継続し、以下の3項目を解明していく。 研究1. 尿路結石の初期形成時における酸化ストレス亢進機序の解明:NIM811のミトコンドリア障害の抑制効果を検討する。モデルラットを用いて機能解明と、予防薬開発を行っていく。 研究2.尿路結石の形成前段階での慢性的な酸化ストレス発生機序の解明:ob/obマウスにアディポネクチンを投与することによる抑制効果について酸化ストレスを中心に引き続き解明を行い、臨床応用への可能性を探る。 研究3:ヒトゲノム遺伝子を用いた遺伝子診断法の開発:ゲノムワイド解析から尿路結石患者に特徴的であると考えられるSNPを解析していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の研究を遂行するため、試薬を購入する。主に、遺伝子関連試薬、抗体、一般試薬などである。また実験動物を使用した研究があるためラットの購入と飼育費用が必要となる。研究を円滑に遂行するための実験助手の費用が必要となる。得られた研究成果の発表と情報収集のために、日本泌尿器科学会、米国泌尿器科学会などに出張するため、旅費が必要となる。
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